白いいちご・ピンクのいちごはなぜ白い?赤いいちごとの違いと代表品種を比較

白いいちご・ピンクのいちごがなぜ白いのか、赤いいちごとの違いを紹介するアイキャッチ画像
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用しています。

いちごと聞くと、まず思い浮かぶのは真っ赤な果実だと思う。
とちおとめ、あまおう、紅ほっぺ、とちあいかなど、日本で多く作られている主要品種も基本的には赤いいちごだ。

ところが最近はいちご売り場や贈答品で、白いいちごや淡いピンク色のいちごを見ることがある。

最初に見たときは、まだ熟していないいちごなのかと思った。
しかし実際には、熟しても白や淡桃色のままになる品種があり、普通の赤いいちごとは果実の色そのものが違う。

さらに調べると、白・ピンク系の中でも色合いはかなり異なる。

白に近いもの、淡い桃色になるもの、サーモンピンクに近いものまであり、
中にはモモやココナッツのような香りを持つ品種まで存在する。

今回は、赤・白・ピンクのいちごにはどんな違いがあるのか、代表品種や色が違う理由、味や香りまで調べた。

目次

いちごには赤・白・ピンクがある

現在流通しているいちごを大きく色で分けると、

赤色
白色〜淡色
淡桃色・ピンク系

に分けられる。

代表的な品種を整理すると、次のようになる。

とちおとめ・あまおう・淡雪・桃薫・パールホワイト・真珠姫の色や味、香りの違いを比較した図
色代表例果皮の特徴主な特徴
赤とちおとめ赤〜濃赤甘味と酸味のバランス
赤あまおう濃い赤大粒で赤色が濃い
赤紅ほっぺ鮮赤〜濃赤果肉内部まで赤い
赤とちあいか赤酸味が少なく甘味を感じやすい
淡桃淡雪淡橙〜淡桃熟しても淡い色
淡桃桃薫淡黄橙〜サーモンピンクモモのような芳香
白系パールホワイト白〜淡い色白系の贈答用いちご
白系真珠姫白系奈良などで高級果実として流通

赤いいちごが圧倒的に多いが、色だけでもかなり違いがある。

農林水産省近畿農政局が紹介している奈良の生産者グループでも、赤い古都華に加え、淡雪、パールホワイト、真珠姫を栽培し、「3色のいちご」を使った商品開発を進めている。

色の違いそのものが、商品価値の一つになっている。

普通のいちごはなぜ赤くなる?

赤・ピンク・白いいちごでアントシアニンの蓄積量が異なる仕組みを比較した図

いちごが熟すと赤くなる大きな理由が、アントシアニンという色素だ。
果実が成熟するにつれてアントシアニンが蓄積し、緑や白っぽかった果実が赤く変化していく。

いちごでは光も着色に関係している。

研究では、可視光や紫外線を当てることで未熟ないちご果実の着色が促進され、
アントシアニンの形成に影響することが確認されている。

つまり通常の赤いいちごでは、
果実が成長する
↓
成熟が進む
↓
アントシアニンが増える
↓
果皮が赤くなる

という変化が起きる。

私たちが「赤くなったから食べ頃」と判断しているのも、この成熟に伴う色の変化を見ていることになる。

白いいちごは未熟なのではない

白いいちごを初めて見ると、一番気になるのがこれだと思う。
「まだ赤くなる前に収穫しただけではないのか?」

しかし、白系・淡色系の品種は未熟だから白いわけではない。
成熟しても赤い品種ほど強く着色しないという品種特性を持っている。

分かりやすいのが「淡雪」だ。
農林水産省の品種登録データでは、淡雪の果皮色は「淡橙」とされている。

登録された品種特性そのものが淡い色なので、赤くならない状態で早採りしているわけではない。

果肉は橙赤、果心は淡赤となっており、外側だけでなく果実内部の色にも特徴がある。

淡雪は熟しても淡い桃色になる

淡色系いちごの代表が「淡雪」だ。
2013年に品種登録されている。

農林水産省の登録情報では、

  • 果実はやや大きい
  • 円錐形
  • 果皮は淡橙
  • 果肉は橙赤
  • 果心は淡赤
  • 一季成り

という特徴を持つ。

名前のとおり、一般的な赤いいちごよりかなり淡い色になる。

重要なのは、これが未熟果ではないことだ。

完熟しても淡い色を保つため、
赤いいちごと同じ基準で「真っ赤になるまで待つ」と収穫時期を判断することはできない。

白・淡色系では、その品種に合った成熟の見極めが必要になる。

桃薫はサーモンピンクで、香りまで普通のいちごと違う

色違いいちごの中でも、かなり特殊なのが「桃薫」だ。
農研機構が育成し、2011年に品種登録された。

果皮は淡黄橙色で、農研機構の資料ではサーモンピンクとも表現されている。

ただ、桃薫の最大の特徴は色だけではない。
モモやココナッツに似た香りを持つ。
さらにカラメルのような香気成分も多く含まれており、一般的ないちごとはかなり違った風味になる。

その理由は系譜にもある。

桃薫の育成には、中国南西部に自生する野生いちごの一種「Fragaria nilgerrensis」が利用されている。
この野生種は小さな白い果実をつけ、モモに似た香りを持つ。

この特徴を栽培いちごへ取り込みながら、収量や果実の見た目を改善して作られたのが桃薫だ。

つまり桃薫は、赤いいちごの色だけを薄くした品種ではない。

別の野生種が持っていた色や香りの特徴まで品種改良で取り込んだ、かなり特殊ないちごになる。

桃薫はどんな系譜?

野生種Fragaria nilgerrensisの特徴を取り入れて育成された桃薫の系譜を示した図

桃薫の交配は、
K58N7-21
×
久留米IH1号
↓
桃薫

となっている。

これだけ見ると分かりにくいが、両方の系統に野生種のF. nilgerrensisが関わっている。

K58N7-21は、
栽培いちごのカレンベリー
×
F. nilgerrensis
から作った系統をもとにしている。

久留米IH1号も、
とよのか × F. nilgerrensis
の系統だ。

つまり桃薫では、一般的な栽培いちごだけではなく、
白い果実とモモのような香りを持つ野生いちごの特徴が強く利用されている。

色違いいちごを調べていて、単純な突然変異だけではなく、
野生種との交配から全く違うタイプのいちごが作られていることが特に面白かった。

パールホワイト・真珠姫など白系いちごも流通している

より白に近いいちごもある。

奈良県内の生産者グループ「奈良いちごラボ」では、

  • 古都華
  • パールホワイト
  • 真珠姫
  • 淡雪

を生産している。

農林水産省近畿農政局によると、パールホワイトと真珠姫は同グループの生産者が育成した品種だ。
赤い古都華と白・淡色系品種を組み合わせ、高級いちごとして国内外へ販売している。

香港、台湾、シンガポール、アメリカなどにも輸出されており、
「色が違う」という特徴そのものが贈答品や海外市場での差別化にも利用されている。

白いいちごは全国の主力品種というより、希少性や見た目を生かした高付加価値商品として扱われるケースが多い。

白いいちごはどうやって食べ頃を判断する?

赤いいちごなら、果実全体が赤くなったことが分かりやすい目安になる。
ところが白・淡桃系ではそれが使いにくい。

例えば桃薫では、農研機構が「果実全体が淡く着色した時期」を収穫適期としている。
未熟なまま収穫すると、桃薫の特徴である香りが十分に出ず、食味も劣る。

反対に過熟になると果実が軟らかくなり、輸送性が落ちる。

つまり白いから未熟ではなく、
その品種本来の色まで成熟しているかを見る必要がある。

白・ピンク系いちごは、赤いいちごより消費者側から成熟度を見極めにくい品種ともいえる。

白いいちごは赤いいちごより甘い?

白いいちごを見ると、「珍しいから普通のいちごより甘いのでは」と思うかもしれない。
しかし、色と甘さは同じものではない。

いちごの甘さには、

  • 糖度
  • 酸度
  • 糖と酸のバランス
  • 香り
  • 熟度

などが関係する。

果皮が白いか赤いかだけで糖度は決まらない。

桃薫についても、農研機構は甘味と酸味を「とよのか」に近いとしている。
桃薫の特徴は極端な高糖度というより、モモやココナッツのような独特の香りだ。

淡雪や白系いちごについても、「白い=特別に甘い」と一括りにはできない。

品種ごとに味を比較する必要がある。

赤いいちごとの一番大きな違いは「希少性」

現在の日本のいちご生産では、赤色品種が圧倒的に主流だ。
とちあいか、あまおう、紅ほっぺ、ゆうべに、いちごさんなど、主要産地の主力はいずれも赤系になる。

その中で白・淡桃系は生産量が少ない。

そのため、
見た目が珍しい
+
流通量が少ない
+
贈答用として映える

という特徴を持つ。

白系いちごが比較的高価格で販売されやすいのも、単純に「白い方がおいしい」からではなく、
こうした希少性や商品設計が大きい。

赤・白・ピンクを一箱に入れた商品が成立するのも、味だけではなく見た目そのものに価値があるからだと思う。

色が違うと栄養も違う?

赤いいちごの色に関係する代表的な成分がアントシアニンだ。

そのため、果皮が濃く赤くなる品種と白・淡色系の品種では、色素の蓄積量や構成が異なる可能性がある。

ただし、
赤いいちご=栄養価が高い
白いいちご=栄養価が低い

と単純に分けることはできない。

いちごにはビタミンCをはじめ、さまざまな成分が含まれている。

さらに成分量は品種だけでなく、熟度や栽培条件によっても変わる。

色だけを見ていちご全体の栄養価を判断するのは難しい。

「赤いいちご」だけでも色はかなり違う

ここまで白・ピンク系を見てきたが、赤系品種も全部同じ色ではない。
あまおうのように濃く色づくものもあれば、品種によって鮮やかな赤、橙赤、濃赤など違いがある。

紅ほっぺは名前のとおり赤色が強く、果肉内部まで赤くなりやすい。

つまりいちごの色は、赤か白かだけではなく、
白
↓
淡黄橙
↓
淡桃
↓
橙赤
↓
赤
↓
濃赤

という連続的な違いとして見る方が実態に近い。

品種改良によって味や大きさだけでなく、果実の色も選抜されてきたことになる。

調べて思ったこと

白いいちごについて調べる前は、「赤くならない突然変異のようなもの」くらいに考えていた。

実際には淡雪のように熟しても淡橙色になる品種があり、
さらに桃薫のように野生いちごとの交配からサーモンピンクの果実と独特の香りを作り出した品種まである。

特に桃薫は、色だけを変えたいちごではなかった。

白い果実とモモのような香りを持つ野生種の特徴を利用し、
普通の栽培いちごとはかなり違う方向へ品種改良されている。

また、白いちごが未熟なのではなく、「その色で完熟している」というのも、知ってみると当たり前だが意外だった。

これまでいちごの品種改良というと、甘さや大きさばかりを見ていた。
実際には色や香りまで含めて、かなり幅広い方向へ品種が作られている。

赤・白・ピンクを並べて見ると、「いちご」という一つの果物の中でも、思っていた以上に幅があることが分かった。

出典

  • 農研機構「桃薫」
  • 農研機構「芳香性のイチゴ種間雑種品種『桃薫』」
  • 農林水産省「品種登録データベース 淡雪」
  • 農林水産省近畿農政局「品質にこだわり高級いちごで輸出を拡大 ~奈良いちごラボ~」
  • 日本食品保蔵科学会誌「蛍光ランプの照射によるイチゴ果実の着色促進効果」
あわせて読みたい
地域限定のいちご品種はある?あまおう・あまりん・とちあいかなど県オリジナル品種を調べてみた 日本のいちごを調べていると、とちあいか、あまおう、あまりん、いちごさん、ゆうべになど、都道府県ごとに違う名前が出てくる。 ぶどうにもクイーンルージュや神紅のよ...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

目次