赤・黄・オレンジ・緑・黒いトマトは何が違う?色・味・栄養・代表品種を比較

赤・黄・オレンジ・緑・黒紫のトマトを並べ、色・味・栄養・代表品種の違いを比較するアイキャッチ画像
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トマトといえば赤色を思い浮かべるが、スーパーや直売所では黄色、オレンジ、緑、黒っぽいトマトまで見かけるようになった。

以前なら緑色のトマトを見ると「まだ熟していないのでは」と思ったかもしれない。
しかし現在は、完熟しても緑色のままの品種がある。黒や紫色に見えるトマトも、
単純に赤いトマトが黒くなったものではない。

では、なぜ同じトマトなのにこれほど色が違うのだろうか。

調べてみると、トマトの色は主にリコピンやβ-カロテンなどのカロテノイド、クロロフィル、果皮に含まれるフラボノイドやアントシアニンなどの組み合わせによって変わる。
色が違えば栄養成分にも違いは出るが、「黄色だから甘い」「黒いほど栄養価が高い」と単純に決まるわけではなかった。

目次

赤・黄・オレンジ・緑・黒紫を最初に比較

色ごとの特徴を大まかに整理すると、次のようになる。

スクロールできます
色色に関係する主な要素代表例味の傾向
赤リコピン桃太郎系、千果など品種によって甘味・酸味のバランス型
黄リコピンが少ない、黄色系カロテノイドなどイエロー系ミニトマトなど比較的まろやかな品種もある
オレンジβ-カロテンなどカロテノイド組成の違いオレンジ千果、オレンジアイコ甘味の強い品種も多い
緑完熟後もクロロフィルが残る、カロテノイド生成が少ないなどエメラルドなどさわやかな風味の品種もある
黒・紫クロロフィル+リコピン、またはアントシアニンなどノーブル・バイオレットなど濃厚な味の品種もある

ここで注意したいのは、「黒いトマト」という一つの色素分類があるわけではないことだ。

赤と緑の色素が重なって黒褐色に見えるものもあれば、果皮にアントシアニンが蓄積して紫色になるものもある。
同じ黒・紫系でも、色ができる仕組みは品種によって違う。

普通のトマトはなぜ赤くなる?

未熟な緑色のトマトから赤・黄・オレンジ・緑熟・黒紫へ色づく違いと、リコピンやカロテノイドなどの色素を示した図

若いトマトは赤い品種でも最初は緑色をしている。

この段階では、果実の中に葉と同じクロロフィルが多く含まれている。
熟し始めるとクロロフィルが減り、代わってカロテノイドが蓄積していく。

赤いトマトで特に多く蓄積するのがリコピンだ。

農研機構では、リコピンを赤色のカロテノイドとして説明している。
一般的な赤色トマトでは、成熟に伴って緑から赤へ見た目が大きく変化する。

つまり赤い色は、最初から果実に塗られているものではない。

熟していく過程で緑色のクロロフィルが減り、新しくリコピンなどが蓄積することで赤く見えるようになる。

赤トマトでもすべて同じ赤ではない

同じ赤トマトでも、品種によって色の濃さは違う。

リコピンの蓄積量だけでなく、果皮の色も見え方に関係している。
果肉が赤くても、果皮の色素構成によってピンク寄りに見える品種と濃い赤色に見える品種がある。

さらに栽培温度も着色に影響する。

農林水産省では、リコピンの生成に適した温度は20〜25℃程度で、35℃を超えるような高温では生成量が大きく低下するとしている。
そのため猛暑時には、完熟しても赤色が薄く黄色っぽく残る着色不良が起こることがある。

赤い品種だから、どんな環境でも同じ真っ赤な色になるわけではない。

黄色いトマトは未熟なのではない

黄色いトマトを見ると、赤くなる途中のようにも見える。

しかし黄色系品種は、完熟しても黄色のままだ。

一般的な赤トマトほどリコピンを蓄積せず、黄色系のカロテノイドなどが見えるため、黄色い果実になる。
トマトの果色は、カロテノイドを作る経路に関係する遺伝子の違いによって大きく変わることが分かっている。

黄色だから熟していないわけではなく、「黄色で完熟する品種」が存在するということになる。

現在はイエローアイコやイエローキャロルなど、ミニトマトを中心に黄色系の品種も普通に販売されている。
サカタのタネでも赤・黄・オレンジのアイコやキャロルシリーズが展開されている。

黄色いトマトは赤より甘い?

黄色いトマトには「酸味が少なく甘い」というイメージもある。

実際にそうした食味を狙って育成された品種はあるが、黄色という色そのものが甘さを決めているわけではない。

糖度や酸度は品種によって違い、さらに水分管理、日射、収穫時期などでも変化する。

同じ黄色系でも甘味の強いもの、さっぱりしたものがあるため、「黄色=赤より甘い」という分類はできない。

色と味はある程度品種特性として関連することはあっても、同じ指標ではない。

オレンジ色は黄色と何が違う?

黄色とオレンジは見た目が近いが、果実に蓄積するカロテノイドの種類や割合が違う。

農研機構によると、カロテノイドの多くは黄色系だが、β-カロテンは橙色、リコピンは赤色を示す。
何をどれくらい蓄積するかによって黄色からオレンジ、赤まで色が変化する。

実際、オレンジ色の品種にはβ-カロテンを多く含むものがある。

例えばタキイ種苗の「オレンジ千果」は、赤色ミニトマトのCF千果と比べてカロテン含量が約3倍とされている。
果色は鮮やかなオレンジで、糖度も高い品種として育成されている。

サカタのタネの「オレンジアイコ」も、20g前後の長卵形ミニトマトで、完熟すると光沢のあるオレンジ色になる。

オレンジ色だから栄養価が上とは限らない

オレンジ系にβ-カロテンが多い品種があるなら、赤より栄養価が高いようにも感じる。

ただ、ここも単純な比較はできない。

赤色トマトにはリコピンが多く、オレンジ系にはβ-カロテンを多く含む品種がある。
それぞれ含まれるカロテノイドの構成が違うだけで、
一つの成分だけを見て「こちらの方が上」とするのは適切ではない。

さらに、同じ色でも品種によって成分量には差がある。

「トマトの色が違うと、摂れる色素成分も変わる」くらいに考える方が実態に近い。

緑色なのに完熟しているトマトがある

個人的に一番分かりにくいのが緑色のトマトだった。

一般的な赤トマトなら、緑色は未熟のサインになる。しかし品種によっては熟しても緑色を保つ。

農林水産省も、黄色やオレンジのほか「熟しても緑色のまま」のトマトが存在すると紹介している。

普通のトマトでは成熟時にクロロフィルが分解されるが、
一部の緑熟品種ではクロロフィルの分解に関係する仕組みが異なる。

近年の研究では、STAY-GREENなどクロロフィル分解に関わる遺伝子や、
カロテノイド合成に関わる遺伝子の違いによって、完熟しても緑色になる仕組みが明らかになっている。

緑トマトはどうやって食べ頃を判断する?

赤トマトなら赤くなったことが一つの目印になる。

緑熟トマトでは、その方法が使えない。

そのため品種ごとに、果実の色合いの変化、触ったときの硬さ、開花からの日数などを使って収穫時期を判断する。

農林水産省が紹介した「エメラルド」は、完熟しても緑色のミニトマトで、
弾力のある果肉とさわやかな風味が特徴とされている。糖度は紹介例で7.5度だった。

見た目だけを知らずに見ると未熟果にしか見えないが、これで完成した色になる。

黒いトマトはなぜ黒い?

黒トマトという名前の商品もあるが、果実が完全な黒色になるとは限らない。

赤褐色、茶色、紫、黒紫などさまざまで、色ができる仕組みも一つではない。

一つは、成熟してもクロロフィルが残りながらリコピンも蓄積するタイプだ。

緑のクロロフィルと赤のリコピンが重なることで、赤褐色や黒っぽい色に見える。
トマトのgreen-flesh変異では、成熟後もクロロフィルが残り、
リコピンと組み合わさって褐色系の果色になることが確認されている。

つまり「黒色の色素が大量に入っているから黒い」とは限らない。

紫トマトにはアントシアニンを含むタイプもある

もう一つが、アントシアニンによって紫色になるトマトだ。

一般的な栽培トマトの果実では、通常アントシアニンはほとんど蓄積しない。
ただし野生種が持つ性質を交配によって導入することで、果皮へアントシアニンを蓄積する紫トマトが育成されてきた。

このタイプでは、日光の当たった果皮ほど紫色が濃くなることもある。

農林水産省が過去に紹介した「ノーブル・バイオレット」は深い紫色のミニトマトで、
ぶどうを思わせる香りと、やや硬めの果肉、濃厚な味が特徴とされていた。

そのため黒・紫トマトを見るときは、「黒系」という一言でまとめるより、
クロロフィルが残るタイプなのか、アントシアニンを蓄積するタイプなのかを分けた方が分かりやすい。

紫なら普通のトマトより体にいい?

アントシアニンはポリフェノールの一種なので、紫トマトでは通常の赤トマトには少ない成分を摂れる場合がある。

一方、赤トマトにはリコピンが多い。

研究では、アントシアニンを持つ紫トマトでも、もともとのトマトが持つカロテノイドなどの成分を維持しながらアントシアニンが追加される例が報告されている。

ただし、これも「紫なら必ず赤より健康的」とまでは言えない。

品種ごとに含有量が違い、食べる量も違う。
健康効果まで含めて色だけで優劣をつけるより、それぞれ含まれる色素成分が異なると考える方がいい。

同じ色でも大玉・中玉・ミニがある

大玉・中玉・ミニという果実サイズと、赤・黄・オレンジ・緑・黒紫という果色が別の分類であることを示した図

色と大きさも別の分類になる。

例えば赤には大玉・中玉・ミニがあるが、オレンジにも大玉の「桃太郎ゴールド」、中玉の「シンディーオレンジ」、ミニの「オレンジ千果」や「オレンジアイコ」などがある。

つまり、
・大玉・中玉・ミニ
→ 果実サイズによる分類
・赤・黄・オレンジ・緑・黒紫
→ 果色による分類
になる。

「黄色=ミニトマト」「黒=小さいトマト」と決まっているわけではない。

ただ、スーパーで見かけるカラートマトはミニや中玉が多く、
複数色を組み合わせて販売しやすいことから、カラフルな品種を目にする機会は小玉系の方が多い。

色によって主産地は違う?

ここは大玉・中玉・ミニの記事以上に統計が少ない。

農林水産省の野菜生産出荷統計では、トマト全体とミニトマトは集計されているが、赤・黄・オレンジ・緑・紫といった果色別の全国生産量は公表されていない。

そのため、
・黄色トマト1位○○県
・紫トマト1位○○県
といった全国ランキングは作れない。

カラートマトは全国各地の農家や施設園芸産地で作られており、色よりも品種、サイズ、作型で生産地域が決まる場合が多い。

色ごとの産地を無理に決めるより、「全国統計では色別に把握されていない」というのが現在確認できる範囲では正確だった。

色だけで味を判断するのは難しい

赤・黄・オレンジ・緑・黒紫トマトの主な色素と味の傾向を比較した図

赤は酸っぱい、黄色は甘い、緑は青臭い、黒は濃厚、といったイメージはある。

実際、そうした特徴を持つ品種は存在する。

ただし味を決めるのは色素だけではない。

糖、酸、グルタミン酸などのうま味成分、香り、果肉とゼリー部分の割合、果皮の厚さなどが組み合わさって味になる。

例えば農林水産省が紹介したカラートマトだけでも、緑のエメラルドはさわやかな風味、紫のノーブル・バイオレットは濃厚な味とされている。
色と味に一定の品種傾向はあっても、すべての緑・紫トマトに共通する特徴ではない。

甘いトマトを選びたいなら、色より品種や糖度表示を見る方が確実だ。

トマトの色は品種改良でかなり広がってきた

本来の栽培トマトでは、赤やピンク系が主流だった。

しかし品種改良では、カロテノイド合成やクロロフィル分解に関係する遺伝的な違いが利用され、
黄色、オレンジ、緑、茶色など多様な果色が作られてきた。

さらに野生種の遺伝子を利用した交配によって、アントシアニンを果皮へ蓄積する紫系品種も登場している。
研究では、トマトの成熟果色として赤、ピンク、黄、オレンジ、緑、白、紫、さらに縞模様まで生じることが整理されている。

サイズの記事では大玉・中玉・ミニが別品種だと分かったが、色についても同じだった。

同じトマトを収穫するタイミングだけ変えて色を作っているのではなく、その色で完熟する品種が育成されている。

調べて思ったこと

カラートマトについては、最初は赤トマトに対する珍しい色違いくらいに考えていた。

実際には、赤ならリコピン、オレンジならβ-カロテンなど、
熟す過程でどの色素をどれだけ作るかによって果実の色が変わっている。
さらに緑ではクロロフィルを残す仕組み、
紫では通常の栽培トマトにはほとんどないアントシアニンまで関わっていた。

特に意外だったのが、黒や紫を一括りにできないことだった。

緑色のクロロフィルと赤いリコピンが重なって黒褐色に見えるトマトと、
アントシアニンによって紫色になるトマトでは、見た目が似ていても中身の仕組みが違う。

一方、「黄色だから甘い」「紫だから栄養価が高い」というところまでは言えない。
色は品種を知る手掛かりにはなるが、味や栄養まで一つの色だけで決まるわけではなかった。

スーパーで何色か入ったカラートマトを見ると見た目を楽しむ商品にも見えるが、
実際にはトマトが持つ色素や品種改良の違いが、そのまま一つのパックに並んでいる。

出典

  • 農林水産省「トマトまるごと まるわかり!」
  • 農林水産省「aff 2017年8月号」
  • 農林水産技術会議「トマトってなぜ赤いの?」
  • 農研機構「カロテノイド」
  • Colanero S. et al., Plant Physiology「What’s behind Purple Tomatoes?」
  • Irfan M. et al.「Green ripe fruit in tomato」
  • タキイ種苗「オレンジ千果」
  • サカタのタネ「オレンジアイコ」
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この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

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