いもの種類は何が違う?じゃがいも・さつまいも・さといもなど5種類を比較

じゃがいも・さつまいも・さといも・やまのいも類・こんにゃくいもの5種類を写真で並べ、植物の分類や栽培方法などの違いを紹介する画像
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じゃがいも、さつまいも、さといもは、どれも身近な食材だ。
さらに、長いもや自然薯、こんにゃくの原料になるこんにゃくいもなど、日本ではさまざまないもが食べられている。

同じ「いも」という名前でも、植物としては同じ仲間とは限らない。
じゃがいもはナス科、さつまいもはヒルガオ科、さといもはサトイモ科に属しており、地下で大きくなる部分にも違いがある。

こうした違いは、味や食感だけでなく、栽培に適した気候や産地にも関係している。
日本で作られている代表的な5種類について、植物の分類、品種、収穫量、栽培方法を比較する。

目次

いもの主な種類と特徴を比較

5種類のいもが地下で育つ様子を断面で示し、じゃがいもやさといもなどの地下茎と、さつまいもややまのいも類の肥大部分を比較した図

普段食べているいもは、植物の根や地下の茎が太くなり、養分を蓄えたものだ。
大きく分けると、茎が太ったものと根が太ったものがあり、食感や育ち方も異なる。

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種類植物の仲間食べる部分主な特徴・用途
じゃがいもナス科地下の茎ホクホク・しっとり。煮物、揚げ物、サラダ
さつまいもヒルガオ科太くなった根甘みが特徴。焼き芋、天ぷら、菓子
さといもサトイモ科地下の茎ねっとりした食感。煮物、汁物
やまのいも類ヤマノイモ科地下の肥大した部分粘りがあり、とろろや短冊切りにも利用
こんにゃくいもサトイモ科地下の茎加工してこんにゃくの原料にする

※やまのいも類には、長いも・自然薯・いちょういも・つくねいもなどが含まれる。

じゃがいもとさつまいもは名前が似ているものの、植物の仲間としては遠い関係にある。
一方、さといもとこんにゃくいもは同じサトイモ科で、いずれも地下の茎が太くなった部分を利用する。

食べ方にも違いがあり、じゃがいもやさつまいもは加熱調理が基本だが、長いもや自然薯は生のまますりおろして食べることもできる。
こんにゃくいもはそのまま食べるのではなく、専用の加工工程を経てこんにゃくにする。

じゃがいもは茎、さつまいもは根が大きくなる

じゃがいもを収穫すると、土の中から丸いいもが出てくる。根が太ったように見えるが、
実際には地下に伸びた茎の一部が大きくなったものだ。
じゃがいもの表面にある芽から新しい茎や葉が伸びるのも、そのためだ。

これに対して、さつまいもは根が太くなってできる。
植物の分類では「塊根(かいこん)」と呼ばれ、細い根の一部が養分を蓄えることで大きく成長する。

さといもやこんにゃくいもも茎が太くなったものだが、じゃがいもとは形や育ち方が異なる。
さといもは中心となる親いもの周囲に子いもや孫いもができ、
品種によって親いもを食べるもの、子いもを食べるものがある。

長いもや自然薯は、地下に長く伸びたり肥大したりする部分を食べる。
文部科学省の食品成分表では塊根として分類されており、同じ「いも」でも成り立ちはさまざまだ。

味や食感、代表品種はどう違う?

いもの違いを感じやすいのは、料理に使ったときの食感だ。
じゃがいものホクホク感、さつまいもの甘み、さといものねっとり感、長いもの粘りなど、それぞれに特徴がある。

ただし、同じ種類でも品種によって食感は変わる。代表的な品種や品種群を整理すると、次のようになる。

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種類代表品種・品種群味や食感の特徴
じゃがいも男爵、メークイン、キタアカリ粉質のホクホク系と、粘質のしっとり系がある
さつまいも紅はるか、紅あずま、シルクスイートねっとり系からホクホク系まで幅広い
さといも土垂、石川早生、八つ頭粘りやぬめりがあり、品種によって食感が異なる
やまのいも類長いも、自然薯、いちょういも、つくねいも水分や粘りの強さが異なる
こんにゃくいもみやままさり、あかぎおおだま、はるなくろ加工原料としての収量や品質が重視される

じゃがいもとさつまいもは品種で食感が大きく変わる

じゃがいもの男爵はホクホクした粉質の食感で、メークインは煮崩れしにくい粘質の品種だ。
同じじゃがいもでも料理への向き不向きがあり、品種を選ぶことで仕上がりが変わる。

さつまいもにも同じような違いがある。
紅あずまは比較的ホクホクした食感で、紅はるかやシルクスイートは加熱によってしっとり、ねっとりした食感になりやすい。
甘さは品種だけでなく、加熱方法や収穫後の貯蔵によっても変化する。

さといもとやまのいも類は粘り方が異なる

さといもは煮物などにすると、独特のぬめりと柔らかな食感が生まれる。
土垂や石川早生は主に子いもを利用し、八つ頭は親いもと子いもがまとまった形になる品種群として知られている。

長いもや自然薯も粘りが特徴だが、さといもとは使い方が異なる。
長いもは水分が多めでサクサクした食感も楽しめる一方、
自然薯やつくねいもは粘りが強く、とろろなどに向いている。

こんにゃくいもは加工することが前提

こんにゃくいもは、ほかのいものように蒸したり焼いたりして、そのまま食べるものではない。
強いえぐみがあり、加工工程であく抜きや凝固処理を行って利用する。

代表品種には、群馬県が育成したみやままさり、あかぎおおだま、はるなくろなどがある。
家庭での食感よりも、畑での収量や病気への強さ、こんにゃくを作る際の原料品質が重要になる。

日本ではどのいもが多く作られている?

じゃがいも・さつまいも・さといも・やまのいも類・こんにゃくいもの地下構造と、2024年産の全国収穫量を比較した図

農林水産省の2024年産統計によると、5種類の中で収穫量が最も多いのはじゃがいもだ。
さつまいもも大きな生産規模を持つ一方、さといもややまのいも類、こんにゃくいもは生産量も産地の構成も異なる。

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種類全国収穫量(2024年産)主な産地
じゃがいも229万5,000t北海道、鹿児島県、長崎県
さつまいも71万7,000t鹿児島県、茨城県、千葉県
さといも11万8,900t埼玉県、宮崎県、千葉県
やまのいも類14万8,400t北海道、青森県、長野県
こんにゃくいも5万1,400t群馬県など

※すべて2024年産の国内収穫量。統計上の名称は、じゃがいもが「ばれいしょ」、さつまいもが「かんしょ」。
やまのいも類は長いもだけではなく、ほかのやまのいもも含む。
こんにゃくいもは加工原料であり、この表は食用として購入される量の比較ではない。

じゃがいもは北海道だけで全国収穫量の8割以上を占める。
冷涼な気候に加え、大規模な機械化栽培や加工・でん粉産業が発達していることが、その生産規模を支えている。

一方、さつまいもは鹿児島県や茨城県などが主要産地だ。
温暖な気候を好む作物で、鹿児島県では焼酎やでん粉の原料としても利用されており、
青果用以外にも幅広い需要がある。

さといもは埼玉県や宮崎県、千葉県などで栽培されている。
やまのいも類は北海道と青森県への集中が目立ち、特に長いもの栽培では冷涼な気候に加え、
地下深くまで伸びるいもを育てやすい土壌条件も重要になる。

こんにゃくいもは群馬県が圧倒的な産地だ。
2024年産では全国収穫量の大部分を同県が占め、品種開発や栽培技術の研究も行われている。

農家の育て方にも大きな違いがある

じゃがいも・さといも・やまのいも類・こんにゃくいもの種いもによる栽培と、さつまいものつる苗による栽培を、植え付けから収穫まで写真で比較した図

いもは地下で育つという共通点があるものの、栽培方法は同じではない。
特に違いが大きいのは、畑に何を植えるのか、どのような気候を好むのか、
収穫までどれくらいかかるのかという点だ。

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種類主な植え付け方法栽培の特徴
じゃがいも種いもを植える冷涼な気候に適し、国内では春植えが中心
さつまいもつるから採った苗を植える暖かい気候を好み、一定の生育期間が必要
さといも種いもを植える高温期によく育ち、水分の確保が重要
やまのいも類種いもなどを植える地中に深く伸びる種類では深い土づくりが必要
こんにゃくいも小さないもを植えて育てる出荷できる大きさまで、おおむね3年かかる

じゃがいもは北海道で春に植え、夏から秋に収穫する栽培が中心だ。
これに対して、さつまいもは種いもそのものを畑に植えるのではなく、
種いもから伸ばしたつるを切って苗として利用する。

さといもは生育期に水分を必要とし、乾燥によって収量や品質が影響を受けやすい。
長いもの栽培では、まっすぐ伸びるいもを傷つけずに収穫できるよう、深く土を耕すなどの工夫が行われている。

なかでも栽培期間が長いのが、こんにゃくいもだ。
小さないもを植えて育て、収穫や植え直しを繰り返しながら、おおむね3年かけて加工に適した大きさにする。
一般的なじゃがいもやさつまいもとは、農家が収穫までにかける時間も大きく異なる。

食べ方や調理で注意したい違い

いもは種類によって、生のまま食べられるものと、加熱や特別な加工が必要なものがある。
長いもや自然薯は生で食べる料理がある一方、じゃがいもやさといもは加熱調理が基本になる。

じゃがいもの芽や緑色になった部分には、ソラニンやチャコニンという天然毒素が多く含まれることがある。
調理するときは芽を根元から取り除き、緑色の部分も十分に除去する必要がある。

また、さといもややまのいも類を触るとかゆくなることがあるのは、
細かな針状のシュウ酸カルシウムなどが関係しているためだ。
皮をむく際は必要に応じて手袋を使うと扱いやすい。

こんにゃくいもは生のまま食べず、適切に加工されたこんにゃく製品を利用する。
名前が同じ「いも」でも、安全な調理方法まで同じとは限らない。

まとめ|いもの種類によって食感も産地も異なる

じゃがいも、さつまいも、さといも、やまのいも類、こんにゃくいもは、植物の仲間も食用にする部分も異なる。
じゃがいもはナス科の茎、さつまいもはヒルガオ科の根、
さといもとこんにゃくいもはサトイモ科の地下茎を利用する。

食感や用途だけでなく、栽培に適した気候も異なり、
・じゃがいもは北海道
・さつまいもは鹿児島県や茨城県
・やまのいも類は北海道と青森県
・こんにゃくいもは群馬県
など、それぞれ特徴的な産地を持つ。

普段の料理で使い分ける食材にも、植物としての違いや地域ごとの農業の特徴が表れている。
いもの種類を比較すると、日本の農作物が多様な気候や栽培方法によって支えられていることが分かる。

参考資料

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この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

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