会社員をしながら、新規就農を本気で検討している。
農業について「なんとなく調べる」フェーズは終わった。次のステップは、実際に動いて、現実を確かめることだ。
そこで今回は、農林水産省・北海道・大阪の相談窓口へ実際に問い合わせを行い、オンライン面談・電話相談を受けてみた。
実際に何を聞いたのか、どこまで事前準備したのかまでも含めて今回は整理した。
問い合わせした窓口
今回接触したのは以下の3か所。
- 「農業をはじめる.JP」の全国新規就農相談センター
- 北海道農業担い手育成センター運営「北海道で農業をはじめる」
- 大阪農業つなぐセンター
最初から市区町村レベルには絞らず、まずは広域窓口から入った。
理由は、まだ地域を完全に決めきっていない段階だったため、制度全体の輪郭や地域ごとの違いを把握したかったからだ。
問い合わせはいずれも、各窓口サイトの専用フォームから申し込みをした。
事前に整理していたこと
事前準備は、国の窓口と自治体窓口で分けて考えていた。
まず「農業をはじめる.JP」の全国新規就農相談センターでは、
- 新規就農全体の進め方
- 地域や自治体の選び方
- 何から動き始めるべきか
といった、新規就農全体の方向性を整理する内容を中心に聞いた。
一方、大阪や北海道では、もっと具体的な内容を聞いている。
- 第三者継承の現状
- 会社を続けながら研修できるか
- 地域ごとの支援制度の違い
- 作物ごとの向き不向き
- 実際の就農プロセス
などだ。
逆に言うと、「農業に興味があります」だけだと、返ってくる情報もかなり浅くなると思った。
返信速度と面談形式
返信速度や対応形式は、かなり違いがあった。
| 窓口 | 返信速度 | 形式 |
|---|---|---|
| 全国新規就農相談センター | 5日以内 | 電話 |
| 北海道で農業をはじめる | 1〜2日 | Zoom |
| 大阪農業つなぐセンター | 約1週間(GW挟み) | 電話 |
基本的には、どの窓口も電話・オンライン面談・直接訪問など、複数の相談方法を用意していた。
今回は初回相談ということもあり、自分としては電話ベースを想定していた。ただ、北海道側は「資料を見ながら説明したい」とのことで、Zoom面談を提案していただいた。
実際、画面共有を使いながら説明してもらえたため、情報量はかなり多かった。
ただし、返信速度=対応の良さではないと思う。時期や担当状況にも左右されるはずなので、そこは注意したい。
農林水産省系:全体の進め方を整理する役割
全国新規就農相談センターでは、個別の制度や農地情報というより、
- どういう基準で地域や作物を考えるか
- 何から動くべきか
- 次にどこへ相談していくべきか
といった、全体の進め方の整理が中心だった。
スタンスとしては、
「詳細は自治体へ」
「まずは地域ごとの窓口へ」
という感じで、一旦交通整理をしてくれる役割に近い。
また、どの窓口でも共通して「新・農業人フェア」は勧められた。
大阪:会社を続けながら研修できる選択肢がある
大阪では、主に以下の内容を聞いた。
- 第三者継承の現状
- 就農までの流れ
- 研修制度の種類
特に印象的だったのは、「会社を辞めなくてもいい」という選択肢があることだった。
大阪では、
- 会社を続けながら農業学校へ通うルート
- 退職して本格研修へ入るルート
の両方があるという。
これは正直かなり良いと思った。
新規就農は、いきなり退職して全振りするにはリスクが大きい。その中で、働きながら試せる選択肢があるのはかなり現実的だと感じた。
また、今回紹介された制度以外にも研修ルートは存在すると聞いたため、そこは引き続き自分でも調べていきたい。
第三者継承は「表に出にくい」
現時点で、公開されている第三者継承案件はかなり少ない、という話だった。
ただ、担当者の話を聞いていて、むしろ納得感があった。
農業未経験で、顔も知らない相手に、自分が長年守ってきた土地や設備を渡せるかと言われたら、確かにかなり難しい。
つまり、継承案件が少ないというより、「信頼関係が前提」という世界なのだと思う。
第三者継承自体は、小規模・中規模も含めて存在している。ただ、実際には表に出る案件はかなり少ないようだった。
基本的には、地域で農業をしている人や、研修を受けている人に対して紹介されるケースが多いという。
北海道:「北海道」と一括りにできない
北海道で一番印象に残ったのは、「北海道」と一括りにできないほど、自治体ごとの差が大きいことだった。
例えば、
- 東京から移住するだけで補助金がある自治体
- 地域おこし協力隊として給与をもらいながら研修できる自治体
- 研修対象作物が決まっている自治体
など、本当に地域ごとの差が大きい。
つまり、「北海道へ行く」ではなく、「どの自治体を選ぶか」の解像度がかなり重要になる。
北海道の第三者継承は「規模」が別の壁になる
北海道でも、第三者継承案件はそこまで多くない。
理由の一つは大阪と同じで、信頼関係の問題だ。
ただ、北海道にはもう一つ別の壁があった。それが「規模」だ。
北海道の大規模農業は、
- 農地
- 大型機械
- 倉庫
- 乾燥設備
などがセットになっているケースが多い。
そのため、継承そのものの金額規模がかなり大きくなる。
もちろん、小規模・中規模案件も存在しているようだが、特に大規模案件ほど表には出にくく、出たとしても資金面のハードルがかなり高いようだった。
また、大阪と同様、基本的には地域で農業をしている人や、研修を受けている人に対して紹介されるケースが多いという。
担当者からも、「新規就農者が個人でそのまま継承するケースは多くない」という話は聞いた。
最初から大規模継承を狙うというより、小規模から始めて、徐々に拡大していくルートの方が現実的なのかもしれない。
相談全体を通して感じたこと
「案件があるから行く」は現実的ではない
今回一番感じたのは、順番の問題だった。
最初は、「継承案件を探してから地域を決める」イメージを少し持っていた。
ただ、実際には逆に近い。
- 地域を決める
- 研修や関係構築をする
- その中で継承の話が出てくる
という流れの方が現実的だと感じた。
実際には、第三者継承よりも、自分で農地を借りて新しく始めるケースの方が多い印象だった。
継承はあくまで、「タイミングと関係性が合えば発生する可能性があるもの」という感覚に近い。
だからこそ、
- 引退予定者が多い地域
- 継承支援に積極的な自治体
を最初から見ておくことは、かなり重要だと思う。
質問の質で返ってくる情報は変わる
就活や転職と違い、自治体側は積極的に勧誘してこない。
こちらの質問に対して、誠実に回答してくれる。ただ、それ以上でも以下でもない。
つまり、何も調べずに相談すると、表面的な情報だけで終わる。
逆に、
- 自分が何をやりたいのか
- どんな作物を考えているのか
- 何を不安に思っているのか
を整理した状態で行くと、それに応じた具体的な情報が返ってくる。
事前準備の差はかなり大きいと思った。
次にやること
今回動いたのは、全道・全府レベルの広域窓口が中心だった。
制度の全体像はかなり見えてきたが、次はもっと地域単位で解像度を上げていきたい。
- 新・農業人フェアへの参加
- 市区町村単位での相談
- 研修制度の条件確認
- 継承支援の実態調査
などは、今後さらに進めていく予定だ。
実際に動いてみて感じたのは、「情報を待っていても、解像度は上がらない」ということだった。
自分から動いた分だけ、少しずつ現実の解像度が上がっていく。今はそんなフェーズに入っている。