京都はなぜパンの消費が多い?全国3位の支出額と百名店24店、4年間住んで感じたこと

京都市のパン支出額やパン百名店、コーヒー文化を紹介するアイキャッチ画像
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大学時代、京都に4年間住んでいた。
京都と聞いてまず思い浮かべるのは、寺社仏閣、抹茶、和菓子といった「和」のイメージだと思う。

私自身、京都に住む前はそうだった。
ところが実際に暮らしてみると、印象に残ったものの一つがパン屋の多さだった。

駅前や繁華街だけではない。
住宅街にも小さなパン屋があり、大学の近くにも何軒もある。朝や昼にパンを買うことも特別ではなく、生活の中にかなり自然にパンが入っていた。

当時は、「学生が多い街だからパン屋も多いのかな」くらいにしか思っていなかった。
社会人になり、食や農業について数字を調べるようになってから、ふと当時のことを思い出した。

京都って、本当にパンをよく食べる街なのだろうか。

調べてみると、京都市は実際にパンへの支出額で全国1位になったことがあり、最新の統計でも全国3位。
さらに2026年の「食べログ パン WEST 百名店」では、京都府から24店も選ばれていた。

「パン屋が多かった」という大学時代の感覚は、どうやら単なる思い込みではなかったようだ。

目次

京都は本当にパンをよく食べるのか

京都市のパン年間支出額が2021〜2023年平均で全国1位、2023〜2025年平均で全国3位だったことを比較した図

まず確認したのが、総務省の家計調査だ。
家計調査では、二人以上の世帯について、都道府県庁所在市と政令指定都市ごとの年間支出額などが公表されている。

京都府が総務省の家計調査を整理した2021〜2023年平均では、京都市のパンへの年間支出額は39,257円で全国1位だった。

全国平均は32,575円なので、かなり高い。
ただし、ここは注意したい。
最新の2023〜2025年平均では順位が変わっている。

集計期間京都市のパン年間支出額全国順位
2021〜2023年平均39,257円1位
2023〜2025年平均39,347円3位

最新では、1位が神戸市、2位が堺市、3位が京都市となった。総務省の最新ランキングは2023〜2025年平均を対象としており、京都市は現在も全国トップクラスに位置している。

つまり、「京都はパン消費日本一」と今も断定するのは正確ではない。
一方で、「京都は長年、全国でも特にパンへの支出が多い街」という表現なら、数字からも確認できる。

しかも2021〜2023年平均では、パン支出額の上位5都市がすべて近畿圏だった。

京都だけが突出しているというより、関西全体にパンをよく買う文化があり、その中でも京都が長く上位にいる、と考えた方が実態に近そうだ。

住んでいたときは「パンの街」だと思っていなかった

数字を見て一番面白かったのは、大学時代の感覚と一致したことだった。
京都に住んでいたとき、パン屋が多いこと自体は感じていた。

下宿の近くにもあったし、大学周辺にも個人経営の店があった。
わざわざ観光地まで行かなくても、普段の生活圏でパンを買える。
昼ごはんを軽く済ませたいときにも使えるし、小腹が空いたときにも買いやすい。
ただ、それを「京都の食文化」だとはまったく思っていなかった。

京都らしい食べ物といえば、和菓子や漬物、日本茶。
パンはどこの街にもある普通の食べ物という感覚だった。

今になって統計を見ると、むしろその**「普通にパン屋がある」状態そのものが京都の特徴だった**のかもしれない。

外から観光で見る京都と、実際に暮らして見る京都では、見える食文化がかなり違う。

実はパン屋の数も多かった

京都府の企業紹介ページにも、興味深い数字が残っている。

京都府がパン業界関係者へインタビューした記事では、2016年の家計調査で京都府のパン消費量が全国1位、2012年の経済センサスでは人口10万人あたりのパン屋店舗数が全国2位だったと紹介されている。

かなり古い統計なので、現在も「店舗数全国2位」とは言えない。

ただ、少なくとも私が京都に住んでいた頃より前から、
パンをよく買うだけではなく、パン屋そのものが多い地域だったことは確認できる。

さらに、その記事では京都の街が碁盤目状になっていることから、それぞれの地域に「まちの小さなパン屋」が成立してきたのではないか、という業界関係者の見方も紹介されている。

これは、実際に京都に住んでいた感覚ともかなり近い。
「有名なパン屋が数店ある」というより、住宅地を歩いていると個人店が普通に出てくる。

京都のパン文化は、大型店だけではなく、こうした小さな店の積み重ねでできているのかもしれない。

食べログ「パン百名店」に京都から24店

パン屋の多さだけではなく、評価の高い店も多い。
カカクコムが2026年7月に発表した「食べログ パン 百名店 2026」では、WEST部門100店のうち、京都府から24店が選ばれた。

WESTでは大阪府32店、兵庫県26店に続く数になる。
代表的な京都の百名店には、次のような店がある。

エリアの例特徴
たま木亭宇治・黄檗京都を代表する人気ベーカリーの一つ
ファイブラン烏丸御池周辺京都中心部で人気のベーカリー
フリップアップ烏丸御池周辺ベーグルなどでも知られる店
amam dacotan 京都京都市中心部2026年百名店で初選出
手作りパン工房 コネルヤ二条周辺地域に根付いたベーカリー

これ以外にも、ボン・ボランテ、まるき製パン所、しろはとベーカリーなど、京都府内から多くの店が選ばれている。
24店という数字を見て改めて感じるのは、京都のパン文化が単に「消費額が高い」だけではないことだ。

日常的にパンを買う人が多く、その中で多くのパン屋が競争し、全国的にも評価される店が育っている。
大学時代には有名店を目的にパン屋巡りをしていたわけではないが、今振り返ると、かなり恵まれた環境に住んでいたのだと思う。

なぜ「和の街」京都でパン文化が根付いたのか

kyoto-bread-culture-reasons.jpg

では、なぜ京都でここまでパンが定着したのだろう。
ここについては、「この一つの理由で説明できる」という統計があるわけではない。
ただ、京都府が掲載しているパン業界関係者へのインタビューでは、いくつか興味深い背景が挙げられている。

一つは、京都には新しいものを受け入れる文化があるという見方だ。
京都というと伝統を守る街という印象が強いが、古いものだけを残してきたわけではなく、新しいものも生活へ取り込んできた。

もう一つが、西陣の職人文化
西陣では多くの職人が忙しく働いてきた。

ゆっくり昼食を取る時間がない中で、短時間で食べられるパンが便利だったのではないかという説が紹介されている。
さらに挙げられているのが、学生の多さだ。
私自身も大学時代、「京都は学生が多いからパン屋も多いのだろう」と思っていた。

これは完全な見当違いでもなかったようで、業界側からも若い学生が多かったことがパン文化の背景の一つとして語られている。

まとめると、
新しいものを取り入れる文化
+職人が多い街の生活スタイル
+学生の多さ
+地域ごとに存在する小さなパン屋

こうした複数の要素が重なった結果として、京都にパン文化が定着していったのではないかと考えられる。
もちろん、これは歴史的背景についての一つの見方であって、パン支出額が高い理由を統計的に証明したものではない。

それでも、「学生が多いから」だけでは説明できない文化の積み重ねがあることは分かった。
ふるさと納税でもパンがあるので、ぜひ食べてみてほしい

パンだけではない。京都はコーヒーも全国トップクラス

さらに調べていて面白かったのが、コーヒーだった。
京都府が総務省の家計調査を整理した2021〜2023年平均では、京都市のコーヒーへの年間支出額は全国2位

1位は隣の大津市だった。
ここでいう「コーヒー」は、豆・粉・顆粒などを指し、ペットボトルや缶などのコーヒー飲料は含まれない。

京都というと宇治茶のイメージが圧倒的に強い。
でも家庭での支出を見ると、パンだけでなくコーヒーも全国トップクラスだった。

大学時代を思い返してみても、京都には喫茶店やカフェが多かった。
パン屋が多いことも、コーヒーをよく飲むことも、それぞれ別の現象ではある。

ただ、「京都=和食・抹茶だけではない」
という生活文化を知る数字としては、かなり面白い組み合わせだと思う。

「京都=パン消費日本一」と言い切らない方が面白かった

今回調べる前は、「実は京都はパン消費量日本一」という記事にできると思っていた。
実際、京都市が全国1位だった時期はある。

でも最新統計を見ると3位だった。
最初は少しフックが弱くなったようにも感じたが、むしろ調べてみると、
日本一になったことがあるほどパンをよく買い、最新でも全国3位に残り、百名店も24店ある

という方が、京都にパン文化が継続的に根付いていることが分かる。
単年のランキング1位より、こちらの方が面白い。

調べて思ったこと

寺社・抹茶・和菓子の観光イメージと、パンやコーヒーが日常にある京都の暮らしを比較した図

大学時代、下宿の近くにパン屋があることを特別だとは思っていなかった。
京都ではそれが普通だったからだ。

大学の近くにもパン屋があり、住宅街にも個人店がある。
パンを買うことも、ごく普通の生活の一部だった。

でも京都を離れてから数字を調べてみると、当時自分が「普通」だと思っていた環境そのものが、全国的にはかなり特徴的だったことが分かった。

そしてもう一つ面白かったのが、外から見る京都との違いだ。
観光客として京都へ行けば、目に入るのは寺社、抹茶、和菓子、京料理かもしれない。

もちろん、それも京都の食文化だ。
一方、4年間暮らした私にとっての日常の京都には、パン屋もかなり自然に入り込んでいた。
さらに数字を調べれば、コーヒーへの支出も全国トップクラスだった。

観光地として見る京都と、暮らす場所として見る京都では、見える食文化が少し違う。

食や農業について地域を調べていると、「その土地といえばこれ」という有名なイメージだけでは見えてこないものがある。
京都のパン文化は、その分かりやすい一例だった。

参考・確認した情報源

  • 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023〜2025年平均)」
  • 京都府「統計で見る京都府民の暮らし」― 2021〜2023年平均のパン・コーヒー支出額
  • 京都府「株式会社山一パン総本店(京都企業紹介)」― 京都のパン文化、店舗数、西陣・学生などの背景
  • 株式会社カカクコム「食べログ パン 百名店 2026」― 京都府24店選出
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この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

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