友人と2人で新規就農するかもしれない|共同経営ではなく「個人事業主×2」で考えている理由

大学時代の友人と個人事業主2人で協力して新規就農する選択肢を表したアイキャッチ画像
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これまで新規就農について考えるときは、基本的に「一人でやる」前提だった。
どこで農業をするのか。何を作るのか。どれくらいの規模から始めるのか。

全部、一人で回せる範囲を基準に考えていた。
ところが最近、そこに新しい選択肢が出てきた。

大学時代の友人と、2人で農業をするかもしれない。
まだ決定ではない。

友人も今は普通の会社員で、農業経験はまったくない。ただ、私が将来的に農業をやりたいという話をしたことをきっかけに、かなり農業側へ気持ちが傾いてきている。

もし本当に2人でやるなら、一人前提だった農業の形はかなり変わる。
一方で、友人同士で事業をする以上、メリットだけを見て始めるつもりもない。

今のところ考えているのは、いきなり一つの会社や共同経営にまとめる形ではなく、
「個人事業主×2」で、それぞれ自分の事業を持ちながら協力する形。

今回は、2人で農業をすることで何が変わりそうなのか、逆に何がリスクになるのかを一度整理してみる。

目次

相手は大学時代の友人。農業経験は2人ともほぼゼロから

相手は大学時代からの友人で、私と同い年。
社会人になってからは東京と大阪で別々に暮らしていたが、帰省したときには一緒にご飯へ行くくらいの関係は続いていた。

友人は現在も会社員。
農業経験は完全に未経験だ。

もともと農家になりたいと言っていたわけではなく、きっかけは私が新規就農について話したことだった。
そこから少しずつ農業の話をするようになり、今では本人もかなり興味を持っている。

とはいえ、
「じゃあ会社を辞めて2人で農業をやろう」と決めたわけではない。

今は、本当に一緒にやる場合にどんな形なら現実的なのかを考えている段階だ。

一人と2人では、考えられる農業の形がかなり変わる

2人での就農を考え始めて、一番最初に感じたのは「単純に人手が2倍になる」こと以上に、選択肢そのものが広がることだった。

今の段階で感じている主な違いを整理するとこうなる。

項目一人で就農する場合2人で就農する場合に期待できること
第三者継承一人で回せる規模が中心より大きな農園も候補になる可能性
作物主力作物を絞りやすい複数作物を組み合わせやすくなる
作業量自分の労働力が上限ピーク時の作業を分担できる
資金一人分の自己資金・借入2人それぞれの資金調達余地
得意分野栽培から販売まで一人で担う栽培・営業・EC・戦略を分担できる
リスク判断は簡単お金・負担・離脱時のルールが必要

こうして並べると、2人になることで確かにできることは増える。
ただ、同時に管理しなければならないリスクも増える。

なので「2人なら楽」というより、2人になると経営の設計そのものが変わると考えた方が近い。

一人で就農する場合と友人と2人で就農する場合の第三者継承・作物・作業量・資金・役割分担を比較した図

一番大きいのは、第三者継承の選択肢が広がること

私が2人就農に一番大きなメリットを感じているのが、第三者継承だ。

後継者のいない農家から、農地や施設、農機、場合によっては販路まで引き継ぐ第三者継承は、新規就農の選択肢の一つになる。

ただ、農園によっては一人で引き継ぐには大きすぎることもある。

農地が広い。
ハウスが複数ある。
栽培だけでなく選果や発送もある。
販売先まで引き継ぐ。

こうなると、一人で回せる規模には限界がある。
その点、2人なら、一人では候補から外していた規模の農園まで検討できる可能性がある。

もちろん、「2人なら大規模農園を簡単に継承できる」という話ではない。
2人とも未経験なら、受け入れてもらえるかという問題もあるし、必要資金も大きくなる。

それでも、一人前提より候補が広がるのは大きいと思っている。

大阪なら「ぶどう+いちご」も現実味が出てくる

大阪で就農する場合、今のところ候補として考えているのが、ぶどうといちごだ。
一人なら、最初からこの2つを本格的に扱うことにはかなり慎重になると思う。

作物が増えれば、当然作業も覚えることも増える。
忙しい時期が重なれば、一人では回らなくなる可能性もある。

一方、2人なら、
ぶどうを主に見る人
いちごを主に見る人

という分け方もできる。

もちろん完全に担当を分離するわけではなく、繁忙期は2人で対応する前提になる。
それでも、一人では「やりたいけど無理」と考えていた組み合わせが、2人なら検討対象には入ってくる。

複数作物を持てれば、収穫時期や売上時期を分散できる可能性もある。

ただ、ここはかなり注意が必要だと思っている。
2人いるからといって、最初から作物を増やしすぎれば、覚えることも設備投資も一気に増える。

なので、2人だから複数作物をやるではなく、
2人だから複数作物も選択肢として考えられるくらいに留めておきたい。

得意分野はかなり分けられそう


新規就農でEC・販売戦略を担当する本人と栽培・営業を担当する友人の役割分担イメージ

2人でやるメリットとして、もう一つ大きいのが役割分担だ。
今のところ、かなりざっくりだがこんなイメージを持っている。

担当イメージ主に見る領域
EC、販売戦略、マーケティング、経営設計
友人栽培、現場管理、営業

私はこれまでの仕事の経験もあり、ECやマーケティング、販売戦略のような部分を担当する方が向いていると思っている。

一方、友人には栽培や現場、営業の比重を大きく持ってもらうイメージがある。
もちろん農業なので、「私はEC担当だから畑には出ない」ということにはならない。

最初は2人とも栽培を覚える必要があるし、収穫期には担当に関係なく作業することになる。

それでも、
栽培・現場・営業寄り
EC・販売・戦略寄り

と得意分野を分けられるのは、一人にはないメリットだ。

農業は「作る」だけでは経営にならない。
栽培、選果、出荷、営業、EC、SNS、経理、資金繰りなど、やることはかなり多い。

一人ですべてを平均的にこなすより、2人で強みを分けた方がうまくいく可能性はあると思っている。

資金面でも選択肢は増える。ただし一番揉めやすい部分でもある

農業を始めるには、思っている以上にお金がかかる。
農地だけではなく、

  • ハウス
  • 農機
  • 資材
  • 選果設備
  • 冷蔵設備
  • 運搬車両

など、作物や規模によって必要なものが増える。
2人それぞれが自己資金を持ち、それぞれが融資を受けられる形になれば、使える資金が増える可能性はある。

これは第三者継承や複数作物を考える上ではメリットになる。
ただ、同時に一番慎重に考えたい部分でもある。
例えば、
ハウスを2人で買った場合、誰の資産なのか。
修理費は半分ずつなのか。
売上が偏った場合、設備費はどう負担するのか。
こういう話を曖昧にして始めると、後から確実に面倒になる。

2人だから資金力が増える可能性はある。
でも、お金まで完全に一緒にする必要はない。今のところはそう考えている。

一番不安なのは「意見が割れること」より作業量の偏り

友人と事業をすると聞くと、「意見が割れたらどうするの?」という話が一番に出てくると思う。
もちろん、その可能性はある。

ただ、現時点ではそこを一番のリスクとは考えていない。
事業戦略や全体の方向性については、基本的には私が主導する形になると思っているからだ。

むしろ心配しているのは、実際の負担がどちらかに偏ることだ。

例えば、私がEC・経営・販売を担当し、友人が畑に出る時間を多く担当したとする。
どちらも事業には必要な仕事だ。

ただ、毎日屋外で作業している側からすると、「自分ばかりきつい仕事をしている」と感じる可能性がある。
逆に、販売・顧客対応・発送・EC運営などは作業量が外から見えにくい。

こちらはこちらで、「自分だけ夜まで仕事をしている」となる可能性もある。
この問題は、単純に労働時間を50:50にすれば解決するとも思わない。

農業では時期によって必要な仕事が変わるからだ。

2人で始めるなら、役割だけではなく、負担感までどう共有するかを考えておく必要があると思っている。

もう一つ怖いのは、どちらかが辞めること

個人的には、これが共同で農業をする上で一番大きなリスクだと思う。

今は2人とも農業に興味があっても、実際に始めた後は分からない。
農作業が想像よりきついかもしれない。
収入が想定より少ないかもしれない。
生活環境が合わない可能性もある。
数年後に、「やっぱり会社員に戻りたい」となっても不思議ではない。

特に危ないのは、
2人で回すことを前提に大きな投資をした後で、一人が抜けるケース。
一人では回せない農地や施設を2人前提で持ってしまえば、残された側の経営そのものが成立しなくなる可能性がある。

だから私は、友人と始めるとしても、最初から完全に一つの経営体にするのは避けたい。

だから「共同経営」より個人事業主×2から始めたい

今のところ一番現実的だと思っているのが、
個人事業主×2という形だ。

一つの会社を作って、
出資も、
売上も、
設備も、
借入も、
全部まとめるところから始めるのではない。

それぞれが自分の事業を持つ。
そのうえで必要なところだけ協力する。
イメージとしてはこんな形になる。

それぞれで持つもの協力できそうなもの
自分の農地・売上農作業の応援
自分の借入一部設備の共同利用
自分の経費EC・販売導線
自分の経営判断営業・発送
自分の撤退判断商品開発・ブランドづくり

この形なら、仮にどちらかが途中で方向転換しても、もう一人の事業まで全部崩れるリスクを抑えられる。
友人だからこそ、最初から全部一緒にしない。

少し距離を感じる考え方かもしれないが、私はむしろその方が長く一緒にやりやすいと思っている。
数年一緒に農業をして、「これは一つの会社にした方がいい」となった段階で法人化や共同経営を考えればいい。

最初から戻りにくい形にする必要はない。

2人就農のメリットとリスクを今の段階で整理すると

まだ実際に始めたわけではないので、完全に仮説ではある。
それでも、今考えていることを整理するとこうなる。

メリットリスク
第三者継承の候補が広がる可能性仕事量が片方に偏る
複数作物を検討しやすいお金のルールで揉める可能性
繁忙期の作業を分担できる一人が辞める可能性
資金調達の余地が広がる可能性2人分の所得が必要
得意分野を分担できる2人前提の規模にすると離脱に弱い
一人で全部抱えなくてよい共同設備の所有・費用負担が複雑

こう見ると、「2人だから成功しやすい」とはまだ全然言えない。

メリットが増える分、設計しないといけないことも増える。

大阪だけでなく、北海道へ2人で行く可能性もある

私は現在大阪に住んでいるが、就農先を大阪に決めたわけではない。
北海道もまだ候補に残っている。

そのため、友人が大阪にいるから、大阪で2人就農すると決めているわけでもない。
大阪なら、ぶどう+いちごという農業を考えている。

一方で、2人で北海道へ行く可能性もある。
むしろ2人になることで、一人では難しい規模の農業を考えられる可能性も出てくる。

ただし、規模を大きくすれば必要な売上も増える。
2人なら2人分の生活を農業から成り立たせなければいけない。

だから、2人になる=経営が簡単になるではない。
できることが増える代わりに、必要な売上や管理も増える。
ここはかなり冷静に考えたい。

2人でやるなら、始める前に決めておきたいこと

まだ正式に一緒に就農すると決めていない。
それでも、本当に始めるなら、最初に決めておくべきことはかなり見えてきた。

  • 誰が何を担当するか
  • どれくらい現場作業をするか
  • 誰がいくら投資するか
  • 共通設備の所有者をどうするか
  • 修理費や維持費をどう分けるか
  • ECや販売を共同化するか
  • 作業を手伝った場合の扱い
  • どちらかが辞める場合のルール

友人同士なら、「そこまで細かく決めなくても大丈夫」と思いたくなる。
でも、おそらく逆だと思う。
友人だからこそ、農業を始める前に決めておく。

関係が悪くなってからお金や作業量について話し合うより、まだ何も始まっていない今の方が話しやすい。

一人前提だった農業が、少し違って見えてきた

少し前まで、私の新規就農計画は完全に一人前提だった。
だから、
一人で管理できる面積。
一人で投資できる金額。
一人で扱える作物。
その範囲で考えていた。

友人とやる可能性が出てきたことで、その前提が少し変わっている。
大阪ならぶどう+いちご。
より規模の大きな第三者継承。
北海道でのもう少し大きな農業。
今までなら最初から外していた選択肢も考えられるようになった。

ただ、今はまだ全部「可能性」の話だ。
友人は農業未経験。
私もまだ農家ではない。

2人ならどれだけ大きな農業ができるかを考えるより、まずは、
本当に2人で農業を続けられるのか。そこを確かめる方が先だと思っている。
一人で始めるのか。
2人で始めるのか。
大阪なのか。
北海道なのか。
まだ答えは出ていない。

でも、一人で就農する以外の選択肢が増えたことで、考えられる農業の形はかなり広がった。
友人だから勢いで始めるのではなく、友人だからこそリスクを分けて始める。

今のところは、そんな形が一番現実的だと思っている。

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この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

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