中華料理やサラダに入っている、小さなとうもろこしのような野菜。
ヤングコーンという名前は知っていたが、私は長い間、普通のとうもろこしとは違う小型の品種だと思っていた。
ところが調べてみると、ヤングコーンは基本的にとうもろこしの若い雌穂を収穫したものだった。
ベビーコーンと呼ばれることもあるが、別の野菜ではない。
さらに前回、スイートコーンでは1株に複数の雌穂が出ても、一番上の1本を商品として育てる栽培があることを調べた。
では、その下にできる2本目や3本目はどうなるのか。
その答えの一つがヤングコーンだった。
今回は、ヤングコーンと普通のとうもろこしの関係、なぜ若いうちに収穫するのか、旬や生産、皮付きと水煮の違いまで調べてみた。
ヤングコーンはとうもろこしを若いうちに収穫したもの
ヤングコーンと普通のとうもろこしは、基本的には収穫する時期が違う。
農林水産省では、ヤングコーンをとうもろこしの幼い雌穂を収穫するものとして整理している。
文部科学省の日本食品標準成分表でも、とうもろこし類のヤングコーンとして掲載されている。
普通のスイートコーンは、雌穂が成長して粒が大きくなり、甘みが十分に増えた段階で収穫する。
一方、ヤングコーンは粒がまだ大きくなる前に収穫する。
小さなとうもろこしに似ているのではなく、本当にとうもろこしが小さい段階ということになる。
なお、ヤングコーンとベビーコーンは基本的に同じものを指す。呼び方が違うだけで、別の品種というわけではない。
1株にできる2番目や3番目の雌穂がヤングコーンになる

スイートコーンは1株に1本しか雌穂ができないわけではない。
前回の記事でも触れたように、1株に2〜3本ほど雌穂が出ることがある。
商品として大きなとうもろこしを作る場合、一番上の雌穂を主に育てる栽培が行われることがある。
そのとき、下にできた雌穂をまだ小さい段階で収穫すると、ヤングコーンとして利用できる。
タキイ種苗の栽培資料でも、最上部の雌穂を残し、
その下の雌穂を絹糸が出たころに取るとヤングコーンとして食べられると紹介されている。
流れを整理すると、
1株に複数の雌穂ができる → 一番上を通常のスイートコーンとして育てる → 下の若い雌穂を収穫する → ヤングコーンになるという形になる。
ヤングコーンだけを見ると別の野菜に見えるが、畑では普通のとうもろこしと同じ流れの中でできている。

ヤングコーンは単なる余り物ではない
ここは調べていて少し認識が変わった。
最初は、一番上のとうもろこしを大きくするために不要になった2番目や3番目の雌穂を取ったものが、
すべてヤングコーンになるのだと思っていた。
実際には、そこまで単純ではない。
タキイ種苗の現在の栽培マニュアルでは、2番目の雌穂を取り除いて1株1穂にすると1番穂がある程度大きくなる一方、除房による増収効果は小さく、茎や葉を傷める可能性もあるため、必ずしも除房する必要はないとしている。
つまり、2番目以降の雌穂を必ず取り除かなければならないわけではない。
農家によってはヤングコーンとして販売するために若いうちに収穫することもあれば、そのまま育てる場合もある。
さらに、最初からヤングコーンの収穫を目的にした専用品種も存在する。
種苗会社では、通常のスイートコーンより多くの若い雌穂を収穫できるベビーコーン専用品種も販売されている。
そのためヤングコーンは、単なるとうもろこし栽培の余り物ではない。
普通のスイートコーン栽培の途中で収穫できる食材でもあり、最初からヤングコーンを商品として作る栽培もある。
ここまで見ると、一つの食材としてきちんと生産されていることが分かる。
なぜヤングコーンは芯まで食べられる?

普通のとうもろこしは粒を食べて、中心の芯は残す。
一方、ヤングコーンは芯までそのまま食べられる。
理由は、まだ若くて組織が硬くなっていないからだ。
ヤングコーンは雌穂が成熟する前に収穫するため、粒だけでなく中心部分も柔らかい。
そのため、皮をむけば実全体を丸ごと調理できる。
皮付きのヤングコーンを見ると、先端には普通のとうもろこしと同じようにひげも付いている。
このひげは絹糸と呼ばれ、一本一本が実の粒につながっている。
ヤングコーンの段階ではひげも柔らかいため、皮付きの国産品では一緒に焼いたり調理したりすることもできる。
普通のとうもろこしを小さくした見た目だけでなく、構造そのものも同じだった。
国産ヤングコーンの旬は5〜6月ごろ
水煮や缶詰のヤングコーンは一年中見かけるため、旬というイメージはあまりない。
ただ、生の国産ヤングコーンには旬がある。
鹿児島市中央卸売市場では、ヤングコーンは5〜6月ごろに収穫され、
この時期に皮付きのものが店頭へ並ぶと紹介している。
地域や作型によって多少ずれるが、国産の生ヤングコーンは5〜6月を中心に、地域によっては7月ごろまで出回る。
通常サイズのスイートコーンより早い時期に収穫するため、旬も少し早くなる。
畑ではまず若い雌穂をヤングコーンとして収穫し、その後に残した雌穂が成長して通常のとうもろこしになる。
ヤングコーンが先に出て、その後にスイートコーンが旬を迎える。
生育の流れを考えると、この順番になるのも分かりやすい。
ヤングコーンの国内生産量は分かる?
スイートコーンについては、農林水産省が全国の作付面積や収穫量を公表している。
一方、ヤングコーンについては少し事情が違う。
農林水産省の主要な野菜生産出荷統計では、ヤングコーンだけを独立した品目として集計した全国収穫量は掲載されていない。
そのため、スイートコーンのように全国生産量や都道府県別ランキングを正確に出すのは難しい。
国産ヤングコーンは、山梨や愛知などスイートコーン産地を中心に各地で生産されているが、
全国で何t作られているのかを示す公的な統計は確認できなかった。
産地ランキングのような情報も見かけるが、元になる全国統計がない以上、数字は慎重に見る必要がある。
ここは無理に順位を作るより、公的な全国生産量が公表されていない食材として扱う方が正確だと思う。
生の皮付きと水煮では何が違う?

スーパーでよく見るヤングコーンは、水煮や缶詰になっているものが多い。
一方、旬になると国産の皮付きヤングコーンも出回る。
どちらも若採りしたとうもろこしであることは同じだが、状態が違う。
水煮は皮やひげを取り除き、加熱処理された状態で販売されているため、一年を通して使いやすい。
皮付きの生ヤングコーンは、収穫した雌穂に皮やひげが残った状態で販売される。
鹿児島市中央卸売市場も、皮付きの方が鮮度を保ちやすく、
選ぶときは皮が乾燥していないものや、ひげがみずみずしいものを目安として紹介している。
生の皮付きなら、皮ごと焼いたり、ひげまで一緒に味わったりできる。
水煮しか食べたことがない場合、旬の国産品はかなり印象が違いそうだ。
普通のとうもろこしより甘くないのはなぜ?
ヤングコーンにはとうもろこしらしい風味があるが、成熟したスイートコーンほど強い甘さはない。
これも収穫時期が関係している。
スイートコーンは成長するにつれて粒が大きくなり、収穫適期に向かって糖分も蓄積される。
一方、ヤングコーンはそのかなり前の段階で収穫する。
そのため、成熟したスイートコーンのような強い甘みを楽しむ食材というより、柔らかい芯とシャキッとした食感を楽しむ野菜になる。
同じとうもろこしでも、収穫する時期を変えるだけで、食感も味も食べる部分も変わる。
ここがヤングコーンの一番面白いところかもしれない。
調べて思ったこと
ヤングコーンについて最初に驚いたのは、普通のとうもろこしと同じものだったことだ。
前回、スイートコーンでは1株に複数の雌穂が出ても、一番上の1本を商品として育てる栽培があることを知った。
その下の雌穂を若いうちに収穫すれば、ヤングコーンになる。
ここまでは比較的分かりやすかった。
ただ、さらに調べると、2番目以降の雌穂は必ず取り除かなければならないわけではなかった。
そのまま育てる場合もあれば、ヤングコーンとして販売するために若採りする場合もある。
さらに、最初からヤングコーンを多く収穫するための専用品種まで作られている。
つまりヤングコーンは、単なるとうもろこし栽培の副産物ではない。
普通のスイートコーン栽培の途中から生まれることもあれば、それ自体を商品として作ることもできる野菜だった。
しかも、国産の生ヤングコーンには5〜6月ごろを中心とした旬がある。
一年中売られている水煮だけを見ていると分かりにくいが、畑の生育順に見ると、ヤングコーンのあとに通常サイズのとうもろこしが出てくる。
同じ植物でも、どの段階で収穫するかによってまったく違う食材になる。
普段何気なく食べていたヤングコーンだったが、とうもろこしの栽培まで見るとかなり面白い野菜だった。
出典
農林水産省「農薬登録における適用作物の分類」
文部科学省「日本食品標準成分表 ヤングコーン」
農林水産省「野菜生産出荷統計」
鹿児島市中央卸売市場「買いごろ・食べごろ ヤングコーンは皮付きを」
タキイ種苗「スイートコーン栽培マニュアル」
タキイ種苗「袋栽培でつくれる野菜 スイートコーン」
小林種苗「ベビーコーン専用品種」

