日本で作られているぶどうの種類は?巨峰・シャインマスカットなど代表品種と30年の変化を調べてみた

日本で作られている代表的なぶどう品種と30年の変化を紹介するアイキャッチ画像
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用しています。

スーパーのぶどう売り場を見ると、シャインマスカット、巨峰、ピオーネ、デラウェアなど、いろいろな名前が並んでいる。

最近ではナガノパープルやクイーンニーナ、藤稔などを見ることも増えた。
一口にぶどうといっても、色や粒の大きさ、種の有無、皮ごと食べられるかまでかなり違う。

では、日本では実際にどんなぶどうが多く作られているのだろうか。

農林水産省の統計を調べてみると、現在は巨峰とシャインマスカットの栽培面積が大きく、
ピオーネ、デラウェアが続いている。
ただし、30年ほど前は今とはまったく違い、デラウェアが圧倒的な主力だった。

今回は、日本で現在作られている代表的なぶどうを整理しながら、
デラウェアから巨峰・ピオーネ、さらにシャインマスカットへと、日本のぶどう畑がどう変わってきたのかを調べた。

目次

日本ではどんなぶどうが作られている?

日本では100種類を超えるぶどうの苗木を入手できるとされ、実際の産地でも多くの品種が栽培されている。

ただし、栽培面積は均等ではない。

農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」を見ると、
生食用ぶどうでは巨峰、シャインマスカット、ピオーネ、デラウェアの4品種が特に大きい。

2023年の主要品種の栽培面積を見ると、次のようになっている。

スクロールできます
品種栽培面積主な産地特徴
巨峰約2,967ha長野・山梨など大粒、濃厚な甘みと香り
シャインマスカット黄緑2,925ha長野・山梨・岡山など大粒、種なし栽培、皮ごと食べやすい
ピオーネ約2,281ha岡山・山梨など大粒、甘みと酸味のバランス
デラウェア約1,910ha山形・山梨・大阪など小粒、種なし栽培が一般的
甲州赤紫山梨など生食だけでなくワインにも使われる
ナガノパープル長野など大粒、種なし、皮ごと食べられる
クイーンニーナ長野・山梨など大粒で糖度が高い
安芸クイーン岡山など巨峰系の大粒赤色品種
藤稔山梨・神奈川など特に粒が大きい
瀬戸ジャイアンツ黄緑岡山など種なし栽培、皮ごと食べやすい

※2023年の主要4品種の面積は農林水産省「特産果樹生産動態等調査」による。
2021~2023年は調査対象が主産県となっているため、それ以前との単純比較には注意が必要。

現在の日本のぶどう畑を見ると、巨峰とシャインマスカットがほぼ同じ規模まで並び、その後にピオーネ、デラウェアが続いている。

一方、スーパーや直売所では栽培面積の小さい新品種も多く見かける。
栽培面積だけでは、売り場で感じる品種の多さまでは分からない。

黒・赤・黄緑でどんな種類がある?

巨峰・シャインマスカット・ピオーネ・デラウェアの代表4品種を比較した画像

ぶどうは果皮の色から、黒系・赤系・黄緑系に分けると分かりやすい。

・黒系で代表的なのが巨峰、ピオーネ、ナガノパープル、藤稔
・赤系にはデラウェア、クイーンニーナ、安芸クイーン、甲斐路
・黄緑系ではシャインマスカット、瀬戸ジャイアンツ、ロザリオビアンコ

黒系|巨峰・ピオーネ・ナガノパープル

巨峰は日本を代表する大粒ぶどうの一つで、長く国内栽培の中心になってきた。

甘みが強く、香りも濃い。現在では種なし栽培された巨峰も多く販売されている。

ピオーネは巨峰とカノンホール・マスカットを交配して日本で育成された品種だ。
巨峰よりさらに粒が大きくなりやすく、岡山県や山梨県などで多く作られている。

ナガノパープルは長野県で育成された品種で、黒系の大粒ぶどうでありながら、
種なしで皮ごと食べられることが特徴になる。

赤系|デラウェア・クイーンニーナ・安芸クイーン

デラウェアは小粒の赤系ぶどうで、現在でも日本で広く作られている。

もともとは米国で発見された品種だが、日本では種なし栽培技術と組み合わされ、
長い間ぶどうの代表格になってきた。
山形県、山梨県、大阪府などが主な産地として知られている。

一方、最近増えているのが大粒の赤系ぶどうだ。

農研機構が育成したクイーンニーナは、大粒で糖度が高い。
安芸クイーンも巨峰系の赤色大粒品種で、クイーンニーナの親にもなっている。

黄緑系|シャインマスカット・瀬戸ジャイアンツ

現在、黄緑系で圧倒的に存在感が大きいのがシャインマスカットだ。

農研機構が育成し、2006年に品種登録された。大粒で糖度が高く、
マスカット香があり、種なし栽培ができるうえに皮ごと食べやすい。

瀬戸ジャイアンツは岡山県で育成された黄緑色の大粒ぶどうで、
こちらも種なし栽培と皮ごとの食べやすさが特徴になっている。

同じ黄緑系でも、現在の栽培面積ではシャインマスカットがかなり大きくなっている。

30年前はデラウェアが圧倒的だった

1989年から2023年までの日本のぶどう主要品種の変化を比較した図

現在の売り場だけを見ると、巨峰やシャインマスカットが昔から日本の代表的なぶどうだったように感じる。

しかし、30年ほど前までさかのぼると状況はかなり違う。

農林水産省がまとめた1989年の品種別栽培面積では、デラウェアだけで38.7%を占めていた。

一方、巨峰は16.6%、ピオーネは2.5%だった。

品種1989年2016年
デラウェア38.7%16.0%
巨峰16.6%30.0%
ピオーネ2.5%16.5%
シャインマスカット8.7%
キャンベル・アーリー13.5%3.9%
マスカット・ベーリーA7.3%3.1%

1989年にはデラウェアとキャンベル・アーリーだけで半分以上を占めていた。

現在のスーパーの売り場とはかなり違う。

特にデラウェアは、1989年の38.7%から2016年には16.0%まで減少した。
その反対に、巨峰やピオーネといった大粒ぶどうが増えている。

日本のぶどうは、まず小粒中心から大粒中心へ変わってきたことが分かる。

デラウェアから巨峰・ピオーネへ変わった

デラウェアは小粒だが、甘みが強く、種なしで食べやすい。

日本では長年親しまれてきたぶどうだが、
消費者がより大きな粒や高級感のあるぶどうを求めるようになるにつれて、大粒品種の存在感が大きくなった。

その代表が巨峰だった。
1989年には16.6%だった巨峰の栽培面積割合は、2016年には30.0%まで増えている。

さらに伸びたのがピオーネだ。
1989年には2.5%にすぎなかったが、2016年には16.5%まで増え、デラウェアとほぼ同じ規模になった。

巨峰もピオーネも、日本で育成された大粒品種だ。

日本のぶどう売り場が、小粒のデラウェア中心から、
大きな房と粒を持つ巨峰やピオーネへ変わっていった背景が数字からも見えてくる。

そこからシャインマスカットが急増した

巨峰とピオーネの次に大きく伸びたのがシャインマスカットだった。

農林水産省によると、シャインマスカットの栽培面積は2016年の1,196haから、
2017年1,379ha、2018年1,625ha、2019年1,840haと増加した。

その後も拡大し、2022年には2,673ha、2023年には2,925haまで増えている。

7年間で2倍以上になった。

2023年には巨峰の約2,967haとほぼ同じ規模まで拡大しており、日本のぶどう畑の主役の一つになっている。

シャインマスカットが増えた理由として、農林水産省は消費者から種なし・皮ごと食べられる品種が支持されていることに加え、皮が薄くても裂果しにくく、日持ちが良いことなどを挙げている。

生産者側でも動きが起きている。

山梨県では、ぶどう栽培面積に占めるシャインマスカットの割合が2009年の0.7%から2023年には20.9%まで増えた。農林水産省の資料では、単価の低いワイン用品種などから、より単価の高いシャインマスカットへ切り替える農家が増えていることも紹介されている。

シャインマスカットの拡大は、単なる一時的な人気だけではなく、実際に産地の品種構成を変える規模になっている。

日本のぶどうは「小粒→大粒→皮ごと」へ変わった?

デラウェアから巨峰、シャインマスカットへと変化したぶどうの粒の大きさや食べやすさを比較した図

ここまでの変化を並べると、日本で求められてきたぶどうの特徴も見えてくる。
1980年代まで主力だったデラウェアは、小粒ではあるものの種なしで食べやすい。

その後、巨峰やピオーネのような大粒ぶどうが増えた。
そして現在急増しているシャインマスカットは、大粒で、種なし栽培ができ、さらに皮ごと食べられる。

かなり単純化すると、
・デラウェア→巨峰・ピオーネ→シャインマスカット
という変化は、
・小粒・種なし→大粒→大粒・種なし・皮ごと
という変化でもある。

農林水産省も、消費者の簡便化志向に対応した品種の例として、
種がなく皮ごと食べられるシャインマスカットを挙げている。

ただし、今後すべてが黄緑色の皮ごと食べられるぶどうになるわけではない。

黒系ではナガノパープル、赤系ではクイーンニーナや新品種などが登場しており、色や味、香りまで含めた品種競争は続いている。

種なしぶどうは「種なし品種」とは限らない

現在のぶどう売り場を見ると、デラウェア、巨峰、ピオーネ、シャインマスカットなど、
多くの商品に「種なし」と書かれている。

ただし、種なし=もともと種ができない品種という意味ではない。

日本では、開花前後にジベレリンという植物ホルモンを使って処理することで、
種なしのぶどうを作る技術が広く使われている。

そのため、同じ巨峰でも種ありと種なしが作られることがある。

シャインマスカットも「何もしなくても必ず種なしになる品種」というわけではなく、
一般的には栽培管理によって種なしにしている。

日本で現在多く作られているぶどうを理解するには、品種そのものだけでなく、こうした栽培技術も切り離せない。

同じぶどう産地でも作っている品種は違う

日本のぶどう収穫量を見ると、山梨県、長野県、岡山県、山形県などが主要産地になっている。
ただし、「ぶどうの産地」と一括りにしても、何を多く作っているかは同じではない。

・山梨県は巨峰、ピオーネ、シャインマスカットなど幅広い大粒品種に加え、甲州のような歴史の長い品種も栽培する。

・長野県では巨峰やシャインマスカットに加え、県が育成したナガノパープルなどがある。

・岡山県ではピオーネの存在感が大きく、シャインマスカット、オーロラブラック、瀬戸ジャイアンツなど多くの大粒品種が作られている。

・一方、山形県や大阪府では現在でもデラウェアが重要な品種だ。

全国ランキングだけを見るとシャインマスカットや巨峰が目立つが、地域ごとに見ると、その産地がこれまで育ててきた品種や新品種への取り組みがかなり違う。

日本全体のぶどう畑は増えているわけではない

シャインマスカットが急速に増えているため、日本でもぶどう栽培そのものが拡大しているように見える。

しかし、日本全体ではそうではない。

農林水産省の資料では、ぶどうの栽培面積は2015年の約1万7,100haから、2024年には約1万6,300haへ減少している。

つまり、シャインマスカットの増加は、ぶどう畑全体が大幅に広がった結果だけではない。

既存のぶどう園で、以前作っていた品種から別の品種へ植え替える動きも含まれている。

山梨県では、ワイン用品種などからシャインマスカットへ切り替える農家が増え、
原料ぶどうを調達するワイナリー側の課題にもなっている。

「どのぶどうが人気か」という消費者側の変化が、産地の畑に植えられている品種そのものを変えていることになる。

調べて思ったこと

最初は、日本で作られているぶどうの種類を整理すれば、それぞれの違いが分かると思っていた。

ただ、栽培面積を昔までさかのぼると、品種それぞれの特徴以上に、
日本で作られるぶどうそのものが大きく変わっていることが面白かった。

1989年にはデラウェアだけで約4割。その後、巨峰やピオーネが増え、
今ではシャインマスカットが巨峰とほぼ同じ栽培面積になっている。

しかも、日本全体のぶどう畑が大きく増えているわけではない。何を植えるかが変わっている。

小粒から大粒へ、さらに種なし・皮ごと食べられるものへ。
消費者が選ぶぶどうが変われば、数年後の畑に植えられている品種まで変わる。

スーパーでいろいろなぶどうが並んでいるだけでは気付かなかったが、その品種構成を見ると、日本の果物の好みがどう変わってきたのかまで見えてくるように感じた。

出典

  • 農林水産省「特産果樹生産動態等調査」
  • e-Stat「果樹品種別生産動向調査累年統計 ぶどう(生食用)」
  • 農林水産省「ぶどうの品種」
  • 農林水産省「果樹をめぐる情勢」
  • 農林水産省「農林水産業・食品産業に関するESG地域金融」
  • 農林水産省「作物統計調査」
あわせて読みたい
黒ぶどうの種類を比較|巨峰・ピオーネ・ナガノパープルは実はつながっている? ぶどう売り場を見ると、黒や紫色のぶどうだけでも巨峰、ピオーネ、ナガノパープル、藤稔などいくつもの名前が並んでいる。 見た目が似ているものも多いので、これまでは...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

目次