農地は誰でも買えない?農地が安い理由と農地法の仕組みを調べてみた

農地が安い理由と農地法の仕組みについて調べたイメージ
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農業を調べ始めて、北海道や大阪の農地付き物件を見ていたとき、最初に驚いたのが価格だった。

宅地なら数百万円から数千万円しそうな広さなのに、農地だと数十万円から数百万円で掲載されていることがある。

場所による差はあるが、感覚的にはかなり安く見えた。

「だったら農地を買ってから農業を始めればいいのでは」と思った。

しかし調べてみると、農地は宅地とはまったく違うルールで管理されている土地だった。

そしてその仕組みを調べていくうちに、普段なんとなく持っていた疑問もいくつか解消された。

目次

なぜ農地は安いのか

農地と宅地の価格差を比較し農地が安い理由を解説するイメージ

農地の価格が宅地より低くなりやすい理由の一つは、使い道が大きく制限されているからだ。

宅地であれば住宅・アパート・店舗など様々な用途が考えられる。

一方で農地は農業を行うための土地として扱われ、利用方法にも制限がある。

さらに大きいのは、買える人が限られていることだ。

宅地であれば欲しい人なら誰でも購入できる。

しかし農地は農地法のルールがあるため、買い手の候補が大きく絞られる。

その結果として需要が限られ、価格も宅地ほど上がりにくい構造になっているようだ。

もちろん地域の需給や立地条件によって価格は変わるが、「誰でも自由に売買できない」という点は農地特有の特徴だと感じた。

農地法とはどんな法律か

農地の売買に制限がある根拠が農地法だ。

農地法は農地を守ることを目的とした法律で、売買・貸借・転用それぞれにルールが設けられている。

もし農地が自由に売買できるようになれば、

  • 投機目的の購入
  • 宅地への転用
  • 太陽光発電施設への転用

などが進み、農地が減っていく可能性がある。

そのため農地は一般的な不動産とは異なる扱いになっている。

農地法では主に次の条文がよく出てくる。

条文内容
農地法3条農地の売買・貸借
農地法4条農地を自分で転用する場合
農地法5条売買や貸借を伴う転用

最初は数字ばかりでよくわからなかったが、要するに「農地を守るためのルール」だと理解すると少しわかりやすくなった。

じゃあ農地は誰でも買えないのか

ここが一番気になった部分だった。

調べる前は、「農家じゃないと買えない」と思っていた。

しかし実際にはそこまで単純ではない。

新規就農者であっても、農業委員会などが求める条件を満たせば取得できる可能性はある。

ただし、会社員が「安いからとりあえず買っておこう」という感覚で取得するのはかなり難しい。

農地を取得するためには、

  • 農業を継続して行う意思
  • 営農計画
  • 農地を適切に利用できること

などが確認される。

つまり農地は、お金を払えば誰でも買える土地ではなく、農業を行うことを前提に管理されている土地なのだ。

農地取得に向けて農地の位置や条件を確認している様子

家庭菜園をやっている人は許可を取っているのか

ここで自然に浮かぶ疑問がある。

近所で小さな畑をやっている人や、庭で野菜を育てている人は農地法の許可を取っているのだろうか。

結論から言うと、農地法が関係するのは農地として扱われている土地だ。

自宅の庭や宅地の一部で家庭菜園をする分には、基本的に農地法は関係しない。

ただし農地として登録されている土地は話が別になる。

農地は農業を行う土地として管理されているため、宅地とは違うルールが適用される。

週末農業や市民農園はどういう扱いなのか

「会社員が週末だけ農業をしたい場合はどうなるのだろう」

という疑問も出てきた。

調べてみると、市民農園や貸し農園の多くは特例制度を活用して運営されている。

利用者は農地そのものを取得するのではなく、区画を借りて利用している形だ。

そのため、

「農業に興味はあるけど、いきなり就農までは考えていない」

という人でも利用しやすくなっている。

一方で本格的に農業を始める場合は話が変わる。

週末農業と新規就農では、農地との関わり方がまったく異なるようだ。

転用とはどういうことか

農地法を調べていると「転用」という言葉が頻繁に出てくる。

転用とは、農地を農業以外の用途に変えることだ。

例えば、

  • 家を建てる
  • 駐車場にする
  • 太陽光発電設備を設置する

といったケースが該当する。

農地が安いからといって、

「買って住宅を建てればいいのでは」

という発想が成立しにくい理由もここにある。

買えたとしても、用途変更には別の手続きや許可が必要になるからだ。

相続した農地はどうなるのか

調べていて意外だったのは、相続の場合だ。

農地は売買には許可が必要だが、相続そのものは発生する。

そのため農業をしていない人が農地を相続するケースも珍しくない。

ただし相続した後、

  • 自分で耕作する
  • 誰かに貸す
  • 売却する

などの選択が必要になる。

近年は高齢化や後継者不足もあり、相続された農地の扱いが課題になっているようだ。

新規就農者はどうやって農地を確保するのか

農地を確保する方法の一例として購入・賃借・農地バンクを示した図

調べる前は、

「農業を始めるならまず土地を買う」

と思っていた。

しかし実際には、買うより借りるケースの方が多いらしい。

新規就農者が農地を確保する方法としては、

  • 農地を購入する
  • 農地を借りる
  • 農地バンクを利用する

といった方法がある。

特に農地バンク(農地中間管理機構)は、高齢化などで使われなくなった農地を就農希望者へつなぐ仕組みとして整備されている。

農地取得の下限面積要件も2023年に廃止されており、小規模から始めるハードルは以前より下がっている。

それでも土地探しは就農の大きな課題の一つであることに変わりはない。

調べてみてわかったこと

「農地が安い」という単純な疑問から調べ始めたが、実際には農地法・農業委員会・転用・相続・農地バンクなど、さまざまな制度につながっていた。

農地は単なる不動産ではなく、食料生産の基盤として管理されている土地だ。

新規就農を考える立場からするとハードルの高さを感じる部分もあるが、その背景には農地を守るという考え方があることは理解できた。

就農を考えるなら、「何を作るか」だけでなく、

「どうやって農地を確保するか」

も早い段階から考えておく必要がありそうだ。

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この記事を書いた人

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材、生産背景、新規就農について考えたことを中心にまとめています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

https://fieldnote-life.com/

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