北海道の農業を調べていたとき、「全国のほとんどを北海道が作っている」農産物が思いのほか多いことに気づいた。
→詳しくはこの記事「もし北海道の農業が止まったら?スーパーから消えるかもしれない食材を調べてみた」
では沖縄はどうなのだろう。
暖かい気候というイメージはあるものの、実際にどんな食材が沖縄に集中しているのかは意外と知らない。
調べてみると、北海道とは正反対の方向性で、同じように「ここでしか作れない」「ここが止まると困る」構造があることが分かった。
沖縄シェア9割以上の食材

まずはここから。代替産地がほとんど存在しない、依存度の高いグループだ。
| 食材 | 全国シェア(沖縄県) |
|---|---|
| モズク | 約99% |
北海道ほど品目数は多くないものの、モズクは全国のほぼすべてを沖縄県が支えている。
スーパーで売られているモズクのほぼすべてが沖縄産だ。産業規模の養殖に成功したのは国内では沖縄だけで、沖縄県もずく養殖業振興協議会によると全国生産量の99%以上を占めている。
見た目は地味だが、食卓への依存度という点では、北海道のてんさいやゆり根に近い構造を持っている。
なぜ沖縄に集中しているのか
理由は単純に「海があるから」ではなかった。
モズクは透明度の高い遠浅の海と安定した水温が必要で、沖縄県沿岸の環境が養殖に適している。さらに冬でも水温が下がりにくく、2月から7月にかけて安定して収穫できることが、全国シェア約99%という突出した生産につながっている。
つまり沖縄が独占しているというより、「沖縄だから成立している食材」と言える。
沖縄シェア5〜6割の作物

完全な独占ではないが、沖縄が国内生産の中心を担っているグループだ。
| 作物 | 全国シェア(沖縄県) | 備考 |
|---|---|---|
| さとうきび | 約56〜62% | 残りはほぼ鹿児島県 |
| ゴーヤー(にがうり) | 約4割 | 全国1位 |
さとうきびは沖縄県を代表する基幹作物で、国内生産のほぼすべてを沖縄県と鹿児島県の2県が担っている。
北海道のてんさいのように「唯一の産地」ではないが、沖縄県だけで国内生産の半分以上を占めており、日本の砂糖づくりを支える重要な存在だ。
ゴーヤーも農林水産省の統計では全国1位で、全国生産量の約4割を占めている。沖縄料理のイメージが強い食材だが、実際に国内最大の産地でもある。
沖縄で何かが起きたとき、実際どうなるのか
このグループは、北海道ほど代替産地が少ないわけではない。
しかし、台風などで沖縄県の収穫量が大きく減れば、さとうきびやゴーヤーなどは全国の供給量や価格に影響が出る可能性がある。
一方で、品目によって影響の大きさは異なる。例えばパイナップルは国産では沖縄県が中心だが、市場全体では輸入品が多く流通しているため、スーパーから完全になくなるわけではない。
シェアは高くないが、全国1位の食材もある

ここからは少し違う角度の話になる。
| 食材 | 状況 |
|---|---|
| パイナップル | 国産はほぼ沖縄産 |
| シークヮーサー | 国産はほぼ沖縄産 |
| マンゴー | 沖縄・宮崎・鹿児島が主産地、沖縄が全国1位 |
| とうがん | 全国1位 |
北海道版と大きく違うのは、輸入品との関係だ。
例えばパイナップルは国産では沖縄県が中心だが、日本の市場全体ではフィリピン産などの輸入品が大半を占めている。
マンゴーも同様で、国産では沖縄県が有力産地だが、市場全体では輸入品も多い。
シークヮーサーは国産のほとんどが沖縄県産だが、生の果実よりもジュースやポン酢などの加工品として利用されることが多い。
つまり、「全国1位=市場の大半」というわけではなく、国産市場で高い存在感を持っている食材が多いことも沖縄農業の特徴だ。
調べてみて思ったこと
北海道と比較すると、沖縄の「独占構造」はモズクに極端に集中している。
一方で、沖縄の農業が担っているのは、生産量だけではない。
冬から春にかけて本州では収穫量が少なくなる時期に、いんげんやゴーヤー、かぼちゃなどを出荷することで、年間を通じた国内供給を支えている。
北海道が「冷涼な気候でしか作れないもの」を支えているなら、沖縄は「温暖な気候だからこそ作れるもの」と「冬場の供給」を支えている。
同じ「地域にしかできない農業」でも、その役割は大きく異なっていた。
出典・参考資料
沖縄シェア9割以上の食材
沖縄シェア5〜6割の作物

