北海道の農業が止まったら日本はどうなる?全国シェア9割超の農作物も

北海道の農業が止まった場合に影響を受ける主要農作物を紹介するイメージ
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北海道の農業について調べ始めた頃は、「土地が広いから生産量が多いんだろうな」くらいの認識だった。
ところが統計を見てみると、思っている以上に北海道がすごかった。

てん菜は国内生産のほぼすべて、小豆やいんげん豆も9割前後。じゃがいもや小麦も国内生産の大部分を北海道が占めている。

北海道は単に「農業が盛んな地域」ではない。作物によっては、日本の供給そのものを北海道に大きく依存している。
もし北海道で大規模な不作や災害が起きれば、原料価格や食品価格を通じて全国へ影響が広がる可能性がある。

今回は、北海道ではどんな農作物が作られているのかを見ながら、全国シェアが特に高い作物を整理してみた。

目次

北海道で作られている主な農作物|全国シェア9割以上も

まずは、北海道への依存度が特に高い作物から見ていく。

北海道が全国シェア9割以上を占める作物(てん菜・ゆり根・種いも・小豆・いんげん豆)をまとめた図
作物全国シェア(北海道)
てん菜ほぼ100%
ゆり根約99%
種いも(採種)約97%
種いも(原種)約96%
いんげん豆(乾燥)約9割以上
小豆約9割前後

※全国シェアは各公的統計の公表年が異なるため、おおよその比率として掲載している。

これらは「北海道が全国1位」というレベルの話ではない。
作物によっては、北海道の生産量が落ちるだけで全国供給への影響が大きくなる。

砂糖の原料、和菓子のあんこ、料亭で使われるゆり根、全国のじゃがいも農家が使う種いも。実はこうしたものの多くが北海道に支えられている。

「北海道が全国1位」というより、北海道が止まると全国が困る作物もあると考えた方が近い。

なぜ北海道に集中しているのか

理由は単純に「土地が広いから」ではなかった。

北海道は冷涼な気候で、本州より病害虫の影響を抑えやすい作物もある。さらに広い農地を使った大規模栽培がしやすい。
そのため、冷涼な気候を好む作物や大規模生産に向く作物が北海道へ集中している。

つまり北海道が独占しているというより、北海道の気候や農地条件と相性がいい作物が多いという方が実態に近い。

てん菜(砂糖の原料)

スーパーで売られている砂糖の原料にはサトウキビとてん菜がある。
このうち、国内のてん菜はほとんどが北海道で栽培されている。

国産てん菜糖という視点で見ると、北海道が重要な供給地ということになる。
普段砂糖を意識して買うことは少ないが、その原料の一部は北海道の農業に支えられている。

ゆり根

おせち料理や料亭で見かける高級食材だ。
現在流通するゆり根は約99%が北海道産とされている。

面白いのは、その多くが関西圏で消費されていることだ。
北海道で作られたゆり根が、京都や大阪の和食文化を支えている。

産地と消費地の関係として興味深い例だと思った。

種いも(原種・採種)

少し変化球になる。

食べる作物ではないが、日本のじゃがいも生産そのものを支える存在がある。
それが種いもだ。

全国の農家が植えるじゃがいもの元になる原種は北海道が約96%、採種は約97%を占めている。
全国どこでじゃがいもを作っていても、そのスタート地点をたどると北海道につながるケースが多い。

食卓に並ぶじゃがいもだけでなく、その生産基盤まで北海道が支えているというのは、調べてみるまで知らなかった。

小豆・いんげん豆

和菓子好きなら欠かせない存在だ。
たい焼き、大福、おはぎ、どら焼き。

こうした餡の原料になる小豆は、国内生産の9割前後が北海道産だ。

いんげん豆も北海道への依存度が高く、煮豆や甘納豆、白あんなどに使われる。
金時豆は煮豆、手亡は白あんの原料になるなど、用途も幅広い。

北海道で何かが起きたとき、実際どうなるのか

このグループは、北海道への依存度がかなり高い。

仮に北海道で大規模な不作や災害が起きた場合、
収穫量の減少から相場上昇、加工食品の原料価格上昇へ影響が広がる可能性がある。

特に小豆やいんげん豆のように北海道の生産シェアが高い作物では、
北海道の作柄が全国収穫量にも強く反映されやすい。

一つの地域の農業が、全国の食料供給にここまで影響するのは興味深い。

北海道が国内供給の主力になっている作物(シェア4〜5割以上)

9割以上ではなくても、北海道が国内供給の大部分を担っている作物は多い。

作物全国シェア(北海道)
馬鈴しょ(じゃがいも)約8割
玉ねぎ約6割
小麦約6〜7割
かぼちゃ約5割
長いも(やまのいも)約5割
スイートコーン約4〜5割
大豆約4割

これらは他県でも生産されている。
それでも、北海道の作柄が全国供給に与える影響は小さくない。

特にじゃがいも・玉ねぎ・小麦は北海道畑作の代表的な作物で、スーパーの商品だけでなく、加工食品や外食産業にも広く使われている。

北海道が国内供給の中心を担う作物(じゃがいも・玉ねぎ・小麦・かぼちゃ・長いも・スイートコーン・大豆)をまとめた図

全国各地で作られていても北海道が全国1位の作物

北海道の強さは、畑作物だけではない。
全国各地で生産されている野菜でも、北海道が有力産地になっているものがある。

作物全国シェア(北海道)
にんじん約3割
ブロッコリー約16%
アスパラガス約14%
大根約12〜14%

これらは全国シェアだけを見ると1〜3割程度だが、北海道が全国上位の産地になっている。

例えばアスパラガスやブロッコリーは全国各地で生産されているが、北海道も大きな供給地の一つだ。

北海道というと小麦やじゃがいもなどの畑作をイメージしやすいが、実際には野菜産地としての存在感も大きい。

北海道が全国1位の生産量を誇る野菜(にんじん・ブロッコリー・アスパラガス・大根)の比較図

北海道の農業が止まると日本はどうなる?

ここまで見てくると、北海道は単に「農業生産額が大きい都道府県」というだけではない。

てん菜、小豆、いんげん豆、種いものように、国内供給を北海道へ大きく依存しているものがある。
さらに、じゃがいも、小麦、玉ねぎなども北海道の比率が高い。

北海道の農業が一時的に止まったからといって、すぐにスーパーからすべての商品が消えるわけではない。
在庫や輸入、他産地からの供給もある。
それでも、北海道で大規模な不作が起きれば、国内供給量の減少や原料価格の上昇につながる可能性は高い。

日本の食卓は、自分が思っていた以上に北海道の農業へ依存している。

今回統計を調べて、一番印象に残ったのはそこだった。

調べてみて思ったこと

最初は「北海道は広いから農業が盛んなんだろう」くらいの認識だった。

しかし実際には、単に面積が広いだけではない。

冷涼な気候や広大な農地があるからこそ、他地域では大規模に生産しにくい作物を北海道が担っている。
北海道は一つの都道府県というより、日本の食料供給を支える巨大な生産基地に近い存在なのかもしれない。

スーパーで見かける砂糖や和菓子、じゃがいも、小麦製品。
その裏側には、想像以上に北海道の農業が関わっていた。

出典・参考資料

北海道シェア9割以上の作物

  • 農林水産省「作物統計」
  • 農林水産省「砂糖及びでん粉をめぐる事情」(てん菜)
  • 北海道農産基金協会(小豆・いんげん豆)
  • 北海道庁農政部(ゆり根)
  • 農研機構・北海道原原種農場(種いも)

北海道シェア4〜5割以上の作物

  • 農林水産省「作物統計」
  • ホクレン「おいしいはエールProject」
  • 北海道庁農政部

北海道が全国1位の野菜

  • 農林水産省「野菜生産出荷統計」
  • 北海道庁「北海道の農業」
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この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

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