前回マンガリッツァ豚の国内飼育を調べていて、もうひとつ気になっていた「世界三大豚」のひとつ、金華豚も調べてみた。
正直、調べる前は「中国の豚だから、日本にはいないんだろうな」くらいに思っていた。マンガリッツァ豚を調べた直後だったので、「またどこかの牧場が交配種を作っているのかな」と予想しながら検索を始めたら、思っていたより複雑な構造が見えてきた。
国内で純粋金華豚を飼育している事業者

現在、公表されている情報を確認した限りでは、純粋な金華豚(中国から導入した血統を維持しているもの)を飼育している事業者として確認できたのは、次の2社だった。
| 事業者 | 場所 |
|---|---|
| 平田牧場 | 山形県酒田市(本拠)、北海道古平町 |
| 山崎精肉店(御殿場純粋金華豚) | 静岡県御殿場市 |
ネットで調べていると「国内3カ所」という記述もいくつか見かけて、最初は数が合わなくて少し混乱した。
調べ直してみると、平田牧場が豚熱(CSF)対策のリスク分散のため、もともと山形だけだった純粋金華豚の飼育を北海道にも広げたことが分かった。
つまり、「事業者」で数えると2社、「飼育されている産地」で数えると3カ所ということらしい。豚熱という感染症対策が、数字の違いにつながっているとは思わなかった。
平田牧場は3つのブランドを展開している
ここはマンガリッツァ豚の記事を書いたときよりも複雑だと感じた部分だった。
平田牧場は、「金華豚」と呼ばれる商品を1種類だけではなく、血統の違う3つのブランドとして展開している。

| ブランド名 | 血統 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 純粋金華豚 | 純血(金華豚100%) | 最高級・年間出荷約1,000頭 |
| 平田牧場金華豚 | 交配種(ランドレース×デュロック×金華豚) | 肉質と生産効率のバランス型 |
| 日本の米育ち金華豚 | 交配種 | 生活クラブ向けブランド |
最初は「金華豚」とひとまとめに理解していたが、調べていくと純血と交配種が混在していることが分かった。
同じ「金華豚」という名前でも、商品によって血統が異なるため、購入するときはどのブランドなのかを確認すると違いが分かりやすい。
山形・北海道:平田牧場の純粋金華豚
平田牧場の純粋金華豚は、出荷体重がおよそ60〜70kgで、生育日数も一般的な豚より長い。
年間出荷頭数は約1,000頭とされており、希少なブランド豚として扱われている。
個人的に驚いたのは、北海道古平町でも純粋金華豚が飼育されていることだった。
「金華豚は中国や山形のイメージ」という先入観があったので、北海道でも純血を維持しているとは想像していなかった。しかも、その理由は味ではなく豚熱対策というリスク分散だった。ブランドを守るために、こうした取り組みが行われていることは調べるまで知らなかった。
静岡・御殿場:山崎精肉店の純粋金華豚

静岡県御殿場市の山崎精肉店でも、中国から導入した純血金華豚を飼育している。
年間出荷頭数は数百頭規模とされ、流通量が少ない希少なブランド豚だ。
平田牧場とは別のルートで純血を維持している事業者が存在することも、今回初めて知った。
どこで買える?
| ブランド | 購入できる場所の例 |
|---|---|
| 平田牧場 純粋金華豚・平田牧場金華豚 | 平田牧場公式通販、百貨店、直営店 |
| 御殿場純粋金華豚 | 山崎精肉店公式通販 |
| 日本の米育ち金華豚 | 生活クラブ生協(組合員向け) |
価格は部位や加工方法によって大きく変わるため、ここでは具体的な金額は省略する。気になる場合は各販売サイトで確認してほしい。
まとめ
金華豚は「中国でしか飼育されていない豚」ではなく、日本でも純血を維持しながら飼育している事業者が確認できた。
その一方で、
- 平田牧場は山形と北海道の2産地で純血を維持している
- 平田牧場では純血だけでなく交配種も展開している
- 山崎精肉店も独自に純血金華豚を飼育している
というように、「金華豚」と一言でいっても背景は意外と複雑だった。
調べる前は「日本でも少し飼われているらしい」という程度の認識だったが、実際には感染症対策による産地分散や、純血と交配種のブランド戦略など、想像以上に奥が深いテーマだった。
スーパーではほとんど見かけない豚だが、その背景を知ると、一度食べてみたくなるブランド豚だった。

