糖度とは?数字が高くても「一番甘い」とは限らない理由を調べてみた

糖度とは何かをにんにく・メロン・レモン・いちご・スイカで比較した画像
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スーパーの果物売り場で「糖度15度」「糖度18度以上」と書かれていると、それだけでかなり甘そうに見える。
私もずっと、糖度はそのまま甘さを表す数字だと思っていた。

ところが調べていると、にんにくの糖度が30度を超えるという情報を見つけた。メロンやぶどうよりも、数字だけならかなり高い。

もちろん、実際に食べてにんにくが果物より甘いということはない。

どうやら糖度は、口で感じる「甘さ」をそのまま数値化したものではないようだ。

今回は、糖度とは何を表す数字なのか、なぜ同じ糖度でも味の印象が変わるのかを調べてみた。

目次

結論|糖度は「甘さそのもの」ではない

疑問答え
糖度とは?液体に溶けている成分の濃さを表す指標
糖度が高ければ必ず甘い?必ずしもそうではない
果物では参考になる?同じ果物・同じ品種同士を比べる目安として使いやすい
甘さを左右するもの糖度だけでなく、酸味・香り・水分量・食感なども関係する

糖度は便利な数字だが、「糖度20度は糖度10度の2倍甘い」という意味ではない。

特に種類の違う食材同士を比べると、数字と実際の味が大きくずれることがある。

そもそも糖度とは何を表す数字なのか

糖度計が測る可溶性固形分と糖度・甘さの違いを示した図

一般的な糖度計は、液体に光を通したときの屈折の仕方から、液体に溶けている成分の濃さを測定している。
糖度計に表示される数値は、正確には「Brix値」と呼ばれる。ただ、この記事では分かりやすく「糖度」と表記する。

ここで重要なのは、糖度計が砂糖や果糖だけを選んで測定しているわけではないことだ。

公的試験研究機関の資料でも、糖以外に塩分や酸などの可溶性固形分も屈折率に影響するため、糖度計の数値は可溶性固形分の濃度として扱われることがあると説明されている。

含まれる成分具体例
糖類果糖・ブドウ糖・ショ糖など
有機酸クエン酸・リンゴ酸など
その他塩分・アミノ酸など

果物や野菜では、溶けている成分の中で糖が大きな割合を占めることがあるため、糖度が甘さの目安として使われている。

つまり糖度は「甘さを直接測った数字」というより、甘さを判断するために利用されている一つの指標と考えた方が分かりやすい。

糖度30度を超えるにんにくが甘くない理由

にんにくとメロンの糖度を比較し糖度が高くても甘いとは限らないことを示した図

調べていて一番驚いたのが、にんにくだった。

にんにくの産地や商品情報を確認すると、30度を大きく超える糖度が公表されている例がある。

情報源数値・内容
JAきたみらい(北海道)糖度33度超と公表
青森県産・福地ホワイト六片(CGCジャパン取扱商品情報)糖度37〜40度と表示
甘いにんにく生産プロジェクト(鳥取・実測事例)38.3度(2022年産10検体の平均)

果物と比べてみると、その高さがよく分かる。

品目糖度の目安・公表例
にんにく33〜40度程度
ぶどう17.0〜22.0度
メロン13.0〜18.0度

数字だけを見ると、にんにくはメロンやぶどうを大きく上回っている。
それでも、生のにんにくを食べて「ぶどうより甘い」と感じることはまずない。

なぜこんなことが起こるのか。

理由の一つとして考えられるのが、含まれている炭水化物の違いだ。
にんにくにはフルクタンなどの多糖類が多く含まれ、こうした成分はブドウ糖や果糖のような糖とは甘味の感じ方が異なるとされている。

文部科学省の食品成分データベースを見ると、にんにく(生・可食部100gあたり)は炭水化物27.5gに対して、「利用可能炭水化物(単糖当量)」は1.1gとなっている。
ただし、この数字だけから「にんにくの糖度33〜40度の内訳」を説明できるわけではない。

食品成分表は可食部全体を分析したデータで、糖度計による測定とは対象や方法が異なるからだ。
さらに、生のにんにくには独特の辛味や強い香りがある。

糖度の数字だけでは、実際に口に入れたときの味までは判断できない。

にんにくは、そのことがよく分かる食材だった。

レモンといちごは糖度が近くても味がまったく違う

もう一つ分かりやすいのが、レモンといちごだ。

計測データを紹介する資料では、レモンといちごの糖度は意外と近い。

食材糖度の目安味の印象
レモン9〜10度程度酸味を強く感じる
いちご9〜11度程度甘味と酸味の両方を感じる

数字だけを見ると、それほど大きな差はない。
それなのに、実際に食べたときの印象はまったく違う。

大きな理由になるのが酸味だ。

レモンにはクエン酸などが含まれ、強い酸味を感じる。そのため、糖度があっても甘さより酸っぱさの印象が前に出る。
果物の味を見るときに、糖度だけではなく「糖酸比」と呼ばれる糖度と酸味のバランスが使われることがあるのも、このためだ。

「糖度が同じ=同じくらい甘く感じる」ではないことがよく分かる。

スイカは糖度が低めでも甘く感じる

反対の例として面白いのがスイカだ。
一般的な糖度の目安を比べると、

  • スイカ:9.0〜13.0度
  • メロン:13.0〜18.0度
  • ぶどう:17.0〜22.0度

となっている。
数字だけなら、スイカはそれほど高糖度な果物ではない。
それでも、スイカは「甘い夏の果物」というイメージが強い。

スイカは酸味が比較的穏やかなため、ぶどうなどより糖度が低くても甘味を感じやすい。

つまり、糖度ランキングと、実際に食べたときに甘く感じるランキングは同じではないということになる。

甘さを決めるのは糖度だけではない

ここまで調べると、「甘い」という感覚が思っていた以上に複雑なことが分かる。

同じ糖度でも、

  • どんな糖が含まれているのか
  • 酸味がどれくらいあるのか
  • 香りが強いか
  • 水分量はどれくらいか
  • 食感はどうか

といった条件によって、口に入れたときの印象は変わる。
だから、にんにくとメロンの糖度をそのまま比べて、
「にんにくの方が糖度が高いから甘い」とは言えない。

逆に言えば、糖度という数字を見るときには、何と比較しているのかがかなり重要になる。

それでも農家や産地が糖度を測る理由

では、甘さと完全には一致しないのに、なぜ農家や産地では糖度を測るのだろう。

そこには、糖度が「比較する数字」として便利だという理由がある。

目的内容
収穫時期の判断熟すにつれて糖度が変化する品目で、収穫時期を判断する材料になる
品質の均一化天候などで出来が変わる中でも、一定の基準を設けられる
ブランドの基準「糖度○度以上」を出荷基準にしているブランド果実もある
消費者への伝達「甘いです」より「糖度15度以上」の方が品質をイメージしやすい

特に重要なのは、同じ品目を比べる場合だ。

同じ品種、同じ産地、同じような条件で作られた果物であれば、糖度は品質を見る一つの客観的な指標として使いやすい。

違う種類の食材を横並びにするより、「このぶどうの中では糖度が高い」「このスイカは出荷基準を超えている」という使い方の方が、糖度という数字の意味を理解しやすい。

家庭菜園や自分で育てた果物・野菜の糖度を測ってみたい場合は、家庭用の糖度計でも確認できる。デジタル式なら果汁を少量のせるだけで測定できるタイプもある。
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糖度を見るときに知っておきたいこと

スーパーや直売所で糖度表示を見たときは、

「数字が大きいほどおいしい」と考えるより、

「その品目の中でどれくらいの水準なのか」を見る方が実態に近い。

例えば、スイカの糖度13度とぶどうの糖度13度では、同じ「13度」でも意味が違う。

これまで糖度の数字だけを見ていたが、基準となる糖度を知って初めて、その数字が高いのか低いのかが分かるということだ。

調べて思ったこと

レモンといちごの糖度を比較し酸味によって甘さの感じ方が異なることを示した図

糖度について調べる前は、「数字が高い=甘い」というかなり単純なものだと思っていた。
でも、にんにくが30度を超える例があると知ると、その考え方では説明できない。

レモンといちごは似た糖度でも味が違い、スイカはぶどうより糖度が低くても十分甘く感じる。
糖度は意味のない数字なのではなく、使い方を間違えると意味が変わってしまう数字なのだと思う。

果物売り場で「糖度○度以上」という表示を見かけたときも、これからは数字そのものより、「その果物ではどれくらい高い数字なのか」を見てしまいそうだ。

まとめ

項目分かったこと
糖度とは液体に溶けている成分の濃さをもとにした数値
糖度=甘さ?完全には一致しない
高糖度でも甘く感じにくい例にんにく
似た糖度でも味が違う例レモンといちご
糖度が低めでも甘く感じる例スイカ
糖度の見方違う食材同士より、同じ品目・品種内での比較に向いている

糖度は「甘さそのもの」ではない。

ただ、その数字が何を表しているのかを知ったうえで見ると、果物や野菜の品質を読み解くための面白い指標になることが分かった。

出典

  • あいち産業科学技術総合センター 食品工業技術センター「Brixと可溶性固形分について」
  • 株式会社アタゴ「糖度表」
  • A&D「Brixとは」
  • JAきたみらい「にんにく」
  • CGCジャパン「青森県産にんにく」
  • 甘いにんにく生産プロジェクト(鳥取・実測事例)
  • 文部科学省「食品成分データベース」
  • 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
  • チャンク農園「にんにくは糖質が多いのに甘くないのはなぜ?」
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この記事を書いた人

Field Note Farmのアバター Field Note Farm 東京で暮らす会社員

会社員として働きながら、食・産地・地方・農業への解像度を少しずつ上げていく記録を発信しています。

直売所や地方の空気、食材の生産背景、新規就農について調べたことや考えたことを中心にまとめています。

将来的な新規就農を目指しながら、農業体験や自治体相談、地域研究を続けており、その過程も記録しています。

都市生活や暮らしの工夫については「Field Note Life」でも発信しています。

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