農家がネットで野菜や果物を販売する方法として、自分専用のECサイト(直販サイト)を作るという選択肢がある。
調べる前は、「ECサイトを作るにはプログラミングが必要」「制作会社へ依頼しないと作れない」と思っていた。
しかし実際に調べてみると、BASEやShopifyなどのサービスを利用すれば比較的簡単に始められる一方で、WordPressや自作など、目的に応じてさまざまな方法があることが分かった。
この記事では、農家が自分のECサイトを始めるために必要なものと、代表的な4つの作成方法を整理する。
直販サイトを作るために必要なもの

どの方法でECサイトを作る場合でも、基本的には次のような仕組みが必要になる。
| 必要なもの | 役割 |
|---|---|
| ドメイン | インターネット上の住所(URL) |
| サーバー | ECサイトを公開する場所 |
| ECシステム | 商品管理・注文受付・在庫管理など |
| 決済機能 | クレジットカードや電子決済への対応 |
| 配送方法 | 商品を発送する仕組み |
BASEやShopifyなどのECサービスでは、サーバーやECシステムが最初から用意されていることが多く、自分で準備するものは少ない。
一方、WordPressや自分で開発する方法では、サーバーやEC機能などを自分で用意する必要がある。
ECサイトを作る方法を比較
| 方法 | サーバー | 初期費用の傾向 | 自由度 | 管理のしやすさ |
|---|---|---|---|---|
| ECサービス | 不要※サービス込み | 低い | ★★★☆☆ | ◎ |
| WordPress+ECプラグイン | 必要 | 低〜中 | ★★★★☆ | ○ |
| 制作会社へ依頼 | 内容による | 内容により変動 | ★★★★★ | ○ |
| 自分で開発 | 必要 | 低〜中 | ★★★★★ | △ |
ECサービスを利用する
BASE、STORES、Shopify、カラーミーショップなどを利用する方法だ。
初期設定
会員登録をすれば比較的短時間でショップを公開できる。サーバーやSSLなどもサービス側が用意されているため、専門知識がなくても始めやすい。
費用
各サービスとも初期費用は無料で始められるものが多いが、月額費用と決済手数料の組み合わせはサービスごとに異なる。
| サービス | プラン | 初期費用 | 月額費用 | 決済手数料の目安 |
|---|---|---|---|---|
| BASE | スタンダード | 0円 | 0円 | 3.6%+40円+サービス利用料3%(実質6.6%+40円程度) |
| BASE | グロース | 0円 | 年払いで月あたり16,580円(月払い19,980円) | 2.9% |
| STORES | フリー | 0円 | 0円 | 5.5%前後(決済方法により変動) |
| STORES | スタンダード | 0円 | 3,300円 | 3.6%前後〜 |
| Shopify | ベーシック | 0円 | 年払いで月額3,650円前後(月払い4,850円程度) | 3.4〜3.6%程度(Shopify Payments利用時) |
| カラーミーショップ | フリー | 0円 | 0円 | 6.6%+33円 |
| カラーミーショップ | レギュラー | 3,300円 | 4,950円 | 決済方法により4%前後〜 |
月額無料プランは決済手数料が高め、有料プランは決済手数料が低めという料金体系になっているサービスが多い。販売額が増えてくると、有料プランへ切り替えた方が費用を抑えられるケースもある。
※料金・手数料は2026年7月時点の公開情報をもとに記載しています。最新の料金は各サービスの公式サイトをご確認ください。
メリット
- 専門知識がなくても始めやすい
- サーバー管理が不要
- セキュリティ対策をサービス側に任せられる
デメリット
- 決済手数料などが発生する
- デザインや機能には一定の制限がある
- サービスごとに料金体系や機能が異なる
どのサービスが自分に合っているかは販売規模や目的によって変わるため、それぞれの違いは別記事で詳しく比較する。
実際にプランを確認
下記より興味のあるサービスの料金プランを確認してみてほしい
・shopifyはコチラ
・BASEはコチラ
・カラーミーショップはコチラ
WordPressで作る
すでにブログを運営している人は、WordPressへEC機能を追加する方法もある。
ただし、WordPressだけではネットショップとして販売することはできない。WooCommerceやWelcartなどのECプラグインを追加して、初めてECサイトとして利用できるようになる。
初期設定
WordPressを利用していない場合は、サーバー契約やWordPressの導入から始める必要がある。
すでにブログを運営している場合は、ECプラグインを追加することでショップ機能を利用できる。
サーバーは、個人や小規模事業者ではConoHa WINGやエックスサーバーがよく利用されている。どちらもWordPressの簡単セットアップ機能があり、初心者でも始めやすい。
費用(サーバー代)
| サービス | プラン | 初期費用 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|---|
| ConoHa WING | ベーシック(WINGパック12か月) | 無料 | 約1,331円 |
| ConoHa WING | ベーシック(WINGパック36か月) | 無料 | 約659〜678円 |
| エックスサーバー | スタンダード(12か月) | 無料 | 約1,100円 |
| エックスサーバー | スタンダード(36か月) | 無料 | 約990円 |
長期契約ほど月額料金は安くなる。
また、ConoHa WINGはWINGパック契約で独自ドメインが最大2つ無料、エックスサーバーも一定期間以上の契約で独自ドメインが無料になる特典がある。
費用(ドメイン代)
| 取得方法 | 初年度の目安 | 更新料の目安 |
|---|---|---|
| サーバー特典を利用 | 0円 | 契約継続中は無料(対象ドメイン・条件あり) |
| ドメイン単体取得(.comなど) | 0〜1,500円程度 | 年1,000〜3,000円程度 |
ドメインは「初年度は安くても更新料がかかる」サービスが多い。長く運営するなら、サーバー契約時の無料特典も確認しておきたい。
※料金は2026年7月時点の目安です。キャンペーンなどにより変更される場合があります。
メリット
- ブログとECを一体運営できる
- SEOとの相性が良い
- デザインや機能の自由度が高い
デメリット
- 初期設定がやや難しい
- 保守や更新を自分で行う必要がある
- ブログと商品ページが混在するため、サイト設計を考えないと商品が埋もれやすい
ブログ記事から商品ページへ自然に誘導したい農家には、有力な選択肢のひとつになりそうだ。
制作会社へ依頼する
ECサイト制作会社へ依頼して、自分専用のショップを作ってもらう方法だ。
初期設定
希望するデザインや機能を伝え、制作会社がサイトを構築する。
ShopifyやWordPressを利用して制作する会社もあれば、オリジナルシステムを開発する会社もある。
費用
制作費は依頼する内容(デザインの作り込み、独自機能の有無、既存サービスを利用するかオリジナル開発か)によって大きく変わる。
また、公開後の保守や更新まで依頼する場合は、月額費用が発生するケースもある。納品後に自社で運営するのか、制作会社へ保守も依頼するのかによって、長期的な費用は変わってくるため、契約前に確認しておきたい。
メリット
- 希望に合わせたサイトを制作できる
- デザインや機能の自由度が高い
- 専門知識がなくても始められる
デメリット
- 初期費用が高くなりやすい
- 修正のたびに費用がかかる場合がある
- 制作会社によって品質や対応に差がある
本格的なブランドサイトを作りたい農家にとっては、有力な選択肢のひとつになる。
実際にプランを確認
個人に依頼する形になるため安くなることが多い:ココナラ
自分で開発する
HTMLやPHPなどを使って、自分でECサイトを制作する方法だ。
最近ではChatGPTなどのAIを活用しながら開発する人も増えている。
初期設定
サーバーやドメインは自分で契約する。
ConoHa WINGやエックスサーバーなどのレンタルサーバーを利用するケースが多く、決済機能もStripeなどの決済サービスを自分で組み込む必要がある。
費用
制作費は抑えられる場合が多いが、サーバー代・ドメイン代・決済手数料などは必要になる(費用の目安は前述の表を参照)。
AIを活用することで開発のハードルは以前より下がっているものの、サーバー管理やセキュリティ対策、決済機能の実装・保守などは最終的に自分で管理しなければならない。
メリット
- 自由度が最も高い
- 独自機能を追加できる
- ランニングコストを抑えられる場合がある
デメリット
- プログラミングの知識が必要
- メンテナンスも自分で行う必要がある
- トラブル対応も自己責任になる
ある程度の技術的な知識や経験がある人向けの方法と言える。
調べて感じたこと

調べる前は、「ECサイトは専門知識がないと作れない」と思っていた。
しかし実際には、初期費用無料から始められるサービスも多く、農家でも比較的始めやすい環境が整っていることが分かった。
一方で、月額費用と決済手数料はトレードオフの関係にあり、「無料だから得」と単純には言えないことも見えてきた。
また、ECサービス・WordPress・自分で開発する方法のいずれを選んでも、オンライン決済を導入する場合は決済会社への手数料が発生するのが一般的だ。そのため、「自分で作れば決済手数料も不要になる」というわけではない点は知っておきたい。
方法を選ぶこと自体がゴールではなく、その先にどんな販売をしていきたいのか、ブログやSNSも活用するのかまで考えて選ぶ方が、結果的に長く運営できるサイトになるのだと感じた。
まとめ
農家が自分のECサイトを作る方法は、大きく分けると「ECサービス」「WordPress」「制作会社」「自分で開発」の4つがある。
それぞれ必要な費用や自由度、管理のしやすさは異なるため、自分の販売規模や目的に合わせて選ぶことが大切だ。
まずは全体像を理解したうえで、BASE・STORES・Shopify・カラーミーショップなどのECサービスや、WordPress、レンタルサーバーについて詳しく比較すると、自分に合った方法を選びやすくなる。

