前回、中国産・スペイン産・国産にんにくを比べてみたとき、国産はひとくくりに「青森県産」というイメージで見ていた。
ただ調べてみると、国産にんにくにもいくつか品種があり、産地によって特徴が違うことがわかった。今回はその違いを整理してみる。
まず産地別の生産量を見る
品種の話の前に、どこで多く作られているのかを確認しておきたい。
| 産地 | 位置づけ | 主な品種 |
|---|---|---|
| 青森県 | 国内出荷量の約7割 | 福地ホワイト六片 |
| 北海道 | 寒地系の代表産地 | ホワイト六片系統 |
| 香川県・大分県 | 暖地系の主要産地 | 上海早生 |
| 長崎県 | 暖地系の特徴的産地 | 壱州早生・平戸にんにく |
青森県は生産量日本一で、国内出荷量の約7割を占めている。国産にんにくの大半が青森県産という前提は、データの上でも揺るがない。
なお、品種別の生産量シェアを示す公的統計は見当たらなかった。産地別の出荷量は公表されているが、品種単位での集計は行われていないようだ。
国産にんにくは「寒地系」と「暖地系」に分かれる

産地によって栽培される品種が違うのは、気候への適性が理由だ。
にんにくは大きく寒地栽培向けの品種と暖地栽培向けの品種に分けられる。
寒地栽培の品種は青森県や北海道などで作付けされ、ホワイト六片系統や福地ホワイト六片などがある。粒が大きく、加熱すると甘みが出やすいのが特徴だ。
一方で暖地栽培の品種は香川県、大分県、宮崎県などで作付けされ、上海早生などが代表的。りん片数が多く、比較的小粒な傾向がある。
つまり、
- 寒地系=大粒タイプ
- 暖地系=多片タイプ
という違いが、国産にんにくの大きな分類になる。
福地ホワイト六片(青森県)
福地ホワイト六片種は、にんにく生産量日本一の青森県で栽培されている代表品種だ。
原産地である青森県福地村(現・南部町福地地区)と、雪のような白さから「福地ホワイト」と名付けられた。
りん片が厚くて大きく、風味や旨味も濃厚。さらに貯蔵性にも優れている。
スーパーで「国産にんにく」と表示されているものは、ほぼこの品種と考えてよい。
加熱すると甘みが強く出るため、丸焼きやホイル焼きとの相性が良い。
ホワイト六片系統(北海道)
北海道でもホワイト六片系統のにんにくが多く栽培されている。
青森県の福地ホワイト六片と近い系統だが、栽培地域や生産者によって風味に違いが出ることもある。
上川地方などではホワイト六片のほか、地域在来系統を栽培する農家も存在する。
寒暖差の大きい気候の影響もあり、甘みや旨味の評価が高い産地として知られている。
上海早生(香川県・大分県など)
上海早生は主に九州や四国で栽培されている暖地型にんにくで、中国由来の品種をルーツに持つ。
見た目は福地ホワイト六片に似ているが、りん片数は12個前後と多く、1片あたりは小さい。
あっさりとした味わいで、香りや辛みも比較的穏やかとされている。
国産でありながら、中国系品種の特徴を持つ少し珍しい立ち位置の品種だ。
壱州早生(長崎県壱岐市)
壱州早生は1925年に朝鮮半島から長崎県壱岐市へ伝わった品種とされる。
見た目は福地ホワイト六片に近いが、りん片数は12片前後あり、小粒タイプに分類される。
香りは比較的穏やかで、薬味用途でも使いやすい。
現在も長崎県を中心に栽培が続けられている。
平戸にんにく(長崎県平戸市)
平戸にんにくは長崎県平戸市周辺で栽培される暖地型品種だ。
暖地系の中では比較的大きく育ち、草丈が1m近くになることもある。
加熱するとねっとりした食感になり、にんにくらしい風味も強い。
また葉にんにくとしても利用されることが多く、球だけでなく葉も楽しめる点が特徴的だ。
結局どの品種を選べばいい?

| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 丸焼き・ホイル焼き | ホワイト六片系 |
| 黒にんにく | ホワイト六片系 |
| 薬味として使いたい | 壱州早生 |
| 暖地で家庭菜園したい | 上海早生 |
| 葉にんにくも楽しみたい | 平戸にんにく |
一般的なスーパーで買うなら、まずは福地ホワイト六片を選んでおけば大きく外すことはない。
その上で、薬味向けや家庭菜園向けなど用途に応じて他品種を試してみるのも面白い。
品種より「誰が作ったか」で選ぶという視点
ここまで品種ごとの違いを見てきたが、実際には同じ品種でも生産者によって味の差は大きい。
土づくりや肥料、収穫タイミングなどの違いによって、甘みや香りは変わる。
同じ福地ホワイト六片でも生産者によって個性があるため、産地だけでなく生産者情報まで見ながら選ぶとさらに面白い。
→ポケットマルシェで選ぶ

調べてみて思ったこと
最初は「国産にんにく=青森県産」という単純なイメージだった。
しかし実際には、寒地系・暖地系という大きな分類があり、その中にもいくつもの品種が存在していた。
品種ごとの生産量データまでは見つからなかったが、地域ごとに育てやすい品種が異なるという構造はよく理解できた。
次に買うときは、産地だけでなく品種や生産者にも目を向けてみたい。
気になる品種があれば、食べチョクなどで生産者から直接購入して食べ比べてみるのも面白そうだ。

